2002年度谷和原村手話奉仕員養成講座カリキュラム作成<第1回>
- 2001年7月7日(土)日経新聞に「引きつける授業 教員に『虎の巻』 名古屋大学が「秘訣集」」との記事が掲載された。
- 手話を指導する上で、ネックになっていることの一つに「何をどう教えたらいいのかが分からない」ろう者が大勢いると思う。日常的に手話を使って生活していることと、教壇に立って大勢の、それも手話を全く知らない聴者に手話を教えることには、大きな隔たりがある。
- テキスト「手話教室−基礎(全日本ろうあ連盟)」はある、講師用の「指導書」なるものもお金を出せば買える。けれども、あの「指導書」を読んでいったい何人のろう者が実際の指導を行えるのだろうか?全て「文字」で書かれた「指導書」、やたらと文章解説の多いテキスト。 これでは音声語から手話を学びましょうと言ってるようなものだ。つまり「全て日本語で書かれた英語のテキスト」なのだ。
- また、手話サークルでろう者が教えている様子を見て感じたことは、「教えるべきことは、<ろうと聴者のコミュニケーション>であるのに、指導の中でろう者は一方的にテキストに書かれた「例文」なる音声語を、日本語対応手話で表現するばかりだし、それを見ている聴者は、音声語との比較・対応しか頭にない。目の前にいるろう者とのコミュニケーションがとても軽視されている。」という状況だった。
- そして、昨年度、茨城に来て初めて谷和原村の手話奉仕員養成講座を担当し、ろう講師と一年間共に活動して分かったことは、「手話を教える」とは、どういうことなのか?について、ろう講師がとても経験不足・情報不足であるということだった。
- 私は、当初毎回の講座の様子をビデオに撮って(受講生の手話表現ではなく、指導をしている私たち自身を収録した。)、そのビデオを後から繰り返し見て、反省点をメールでろう講師に送った。初めの頃は、あまりにも「一方的」な指導に、かなり厳しい批判も書きまくった。受講生一人一人を大切にすること、受講生の手話表現をよく見ること、そして覚えるのが遅い人もキチンと育てることを繰り返し書いた。
- 1年間経って、今では冗談を織り交ぜて、受講生を「惹きつける」指導が身に付いてきている。私がこんなことを書くのは、思い上がっているとの批判もあるだろうけれど、現実の問題として、「指導の秘訣」は不可欠だと思うのだ。手話講習会に集まる人たちも20年前とは大きく変わってきている。福祉のあり方も根底から変わろうとしてる時代に、あらためて手話指導とはなんなのか?私なりに考えていこうと思う。
- そんなわけで、このコーナーでは、2002年度の谷和原村手話奉仕員養成講座(基礎コース)をネタに、私がどのように講座をデザインしていくのかを「実況中継」してみようという試みです。
<今年度の指導ポイント>
- 目標は「日常会話」ができること。(奉仕員養成は手話通訳を目指すものではない)
- その「日常会話」は、谷和原村における身近な「日常会話」を用いなければ「使えない」手話で終わってしまう。
- そこで受講生自身に、会話例文(場面設定・セリフ)を創作してもらいつつ、奉仕員基礎カリキュラムにある基本文法等の習得を目指したい。
- また、具体的な指導方法としては、<講師からの質問に答え><ろう講師と実際に会話する>中で必要とする単語や表現、文法を身につけていきたい。
- そのため、昨年度以上に「声なし」での学習を基本に、手話にどっぷりつかる2時間を作っていきたい。
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<第2回 コースデザイン>
<第3回 講義要綱>
<第4回 シラバスの作成>
<第5回 4月11日(1)カリキュラム>
<第6回 4月25日(2)カリキュラム>
<第7回 5月9日(3)カリキュラム>
<第8回 5月23日(4)カリキュラム>
<第9回 6月13日(5)カリキュラム>
<第10回 6月27日(6)カリキュラム>
<第11回 7月11日(7)カリキュラム>
<第12回 7月11日(7)実施報告>
<第13回 7月25日(8)カリキュラム>
<第14回 8月8日(9)カリキュラム>
<第15回 8月22日(10)カリキュラム>
<第16回 後期カリキュラム検討>
<第17回>
<第18回>
<第19回>
<第20回>