2002年度谷和原村手話奉仕員養成講座カリキュラム作成＜第17回＞9/12（木）講座報告

１．本日の日程は・・・

ということでした。

２．ひたすら感激の上映会・・・涙、涙、涙

• 久しぶりに「どんぐりの家」を見ました。

• とにかく感動しちゃいました。何度も何度も見た映画なのに・・・。

• 西尾さんも「いい映画だった。ろう協と手話サークル、手話通訳者が力を合わせて「どんぐりの家」建設運動を行ってきたことが、とても素晴らしかった」と言ってくださいました。

• なるほど、確かにこの映画は、「ろうあ運動とは何か？」を考え、学ぶ上でも、とても貴重なビデオかもしれません。

３．「せたつむりの原点に返ろう！」と思いました。

• 「この子よりも、１日だけ長生きしたい、生きなければならない」
  　これが、ろう重複運動にずっと関わってきた僕の原点となる「親たちの思い」です。そんな思いの親御さんたちを、なんか応援したい。安心してもらえるような社会にしたい。そう思って僕は東京でかたつむりの応援をして来ました。「子供を残して死ぬわけにはいかないのだ」という親の気持ちは、いったい全体悲しすぎるじゃないか！　ろう重複児・者の親たちが子供の明日を楽しみにして毎日を暮らせるような社会にしたい。もっと積極的に子供に未来を託せるような社会にしたい。そんなことを考えてきました。

• 親たちが作業所作りについて話し合う場面で、それまで建設に反対していたお母さんが、最後に「もう泣くのは今日限りにしよう。うちの子も入れてもらえるかな？足手まといになってもいい？」と立ち上がります。ろう重複は、実にいろんな障害がある。難しい。ボラも仲間の病気のことをキチンと知って接する必要がある場合も多い。それでも、どんな仲間も一人の仲間として、共に歩いていこう、というのがろう重複者の運動だと思う。

• 茨城に引っ越してきてからは、なかなかろう重複の仲間達と接する時間さえ取れずに過ごして来ました。このホームページも「せたつむり２００２」としながら、実際の内容は、養成や通訳問題ばかりになっていて、心の中で「やりたいことができてないなぁ〜」て思いがくすぶっていました。そんな僕を今日の映画は、思いっきり元気づけてくれました。ボラだけが、ろう重複運動じゃない。できることから、できる範囲で、できない時こそ知恵を絞って、様々に仲間達を応援しよう！そんな思いを感じています。

４．敬愛する鈴ケ嶺さん（たましろの郷職員）からもパワーをもらいました！

• 全日ろう連のＭＩＭＩ（2002年夏号　No96）の巻頭に、元かたつむり職員、今は、たましろの郷職員の鈴ケ嶺さんが「ろう重複施設の現場から」という随想を書かれていました。以前、かたつむりにボラに行ってたころ、すっごい久しぶりにイベントに参加しても、いつも一緒にいる仲間と同じように分け隔てなく僕を「こき使ってくれた」素晴らしい方です。勝手に転載させてもらって、今夜の講習会報告としたいと思います。

「ろう重複施設の現場から」 　もう２０年近く前になるでしょうか。手話を始めて間もないころ、ろう学校の見学に行く機会がありました。思えばそのとき目にした光景が、この世界へのはじめの一歩でした。 　生徒の背中に字を書く先生。うまく動かない手で、手話のような身振りのようなしぐさで語る生徒。聞こえないのに手話以外の世界がある−これには驚き、そしてなぜか引きこまれ、どっぷりとつかってしまうことになったのです。 　ろう重複の共同作業所かたつむりに押しかけで就職したときに２人だったなかまは、１３年間で２１人に増えました。この間、まさにドッキリ、ハラハラ、ワクワクの毎日でした。 　「ガッシャーン」。昼食の最中に突然茶碗を落とす人。急に怒りだし、壁に自分の頭をぶつける人。物を投げる。お漏らしをする…。たくさんの、世に言う「問題行動」の連続。「どうしたの?」「どうして？」と問いかけても、答えることのできないなかまたち。私たち職員は「どうすればいいのよ?」と戸惑いあわてるばかりでした。 　毎日のように茶碗を落とす人は何が言いたいのだろう。機嫌が悪い?　嫌いなものがある?　横に座った人が嫌い…?怒って頭をぶつける人。怒る前に何をしていたっけ?　あの身振りはどういう意味だったの…?　原因を探ろうと話し合いを始めると職員会議はいつも止まるところを知りません。 　ようやく、「もうご飯を終りにしたいという意味じゃないか?」ととりあえずの結論が出て、毎日様子を見ながら『終わり』の手話を繰り返し表現。するとある時、その人がスッと立って『終わり』の手話をし、おぼんを持って茶碗を流しへ運んで行くではないですか。もう、こういう時の嬉しさは、なんとも言えません。ワクワクの所以です。 　しかし、いつもこうは行きません。何度話し合っても、どんなに注意深く行動を見ていても、わかってあげられないことの方が多かったと思います。それでも「行動の意味をつかめるまで待て」、「相手が意味をつかめないのにダメという手話を使うな」、「一人で判断するな。職員も集団だ」という花田所長の３大指導の下、わが娘以上に付き合ったかたつむりのなかまたちでした。（よく文句を言っていた娘も、今ではかたつむりのボランティアです）　 　今年１月、待ちに待った就労・生活施設「たましろの郷」がオープン。私もこの施設の職員となりました。ドッキリ、ハラハラ、ワクワクはかたつむりと同じです。なかまたちはよくケンカもします。それでもさっきまでケンカしていた相手がうまくコマで遊べないのを見て「教えてやるよ」と肩をたたいたりしています。不思議な力でお互いに引き合う仲間意識がろう重複の世界にあるような気がします。そして、それは彼らが自分の言い分をなかなか理解されずに苦しんできたからこそだと思わずにいられません。 　ろう重複者の一番の障害は、やはりコミュニケーション障害だと思います。自分の言いたいことを伝えられないもどかしさが、いつも伝わってきます。 　しかし、その障害は職員だけでなく、同じ聞こえない方たちや手話を学ぶ方々、近所の人たちみんなが少しずつ彼らと関わってくださることで軽くなり、その結果、ろう重複の人たちが、もっといろいろな集団の中で生き、働くことができるようになると信じてやみません。 鈴ケ嶺　真弓（すずがみね　まゆみ　社会福祉法人東京聴覚障害者福祉事業協会「たましろの郷」職員）

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