茨城県手話通訳者指導者養成講座(第3回−その3) 2002年8月31日(土)やすらぎ
テーマ「手話の知識・日本語の知識」
<午前中にやった、応用テキスト第9回「生活習慣病についての講演」の翻訳比較>
今回は生活習慣病についてお話したいと思います。
木下;今/話す/テーマ/生活/クセ/病気/うなづき
ろうSさん;生活習慣病/言う/毎日/食べる/仕事/ついて/説明/したい/思う
病気にかからず健康な生活をしたい、これは誰もが願うことです。
木下;みんな/病気/イヤイヤ/健康/暮らし/したい/同じ・同じ
ろうSさん;病気/ない/健康/生活/したい/お願い/みなさん
しかし現在「生活習慣病」は増え続けています。
木下;けれど/今/生活/クセ/病気/増える
ろうSさん;今/生活/危ない
「生活習慣病」というのは、これまで成人病と呼ばれていた脳卒中やガン、心臓病や糖尿病などのことです。
木下;生活/クセ/病気/何?/以前/名前/大人(あるいは空書「成人」)/病気/うなづき/例えば/脳/壊れる/ひっくり返る/とか(左手指折る)/「ガ」「ン」/とか/心臓/病気/とか/甘い/尿/病気/など
ろうSさん;生活/毎日/疲れる/成人病/言う/脳卒中/ガン/心臓病/糖尿病/など/
「生活習慣病」の大きな原因の一つには、食生活にあるといわれています。
木下;生活/クセ/病気/原因/何?/食べる/生活/関係/ある
ろうSさん;生活/バランス/悪い/食物/注意/ない
この20年から30年間、日本人の食生活は大幅に変化し栄養状態は大きく改善されました。
木下;最近/20年/30年/くらい/間/日本/人/食べる/様子/ガラッと変わる/栄養/良い/なった
ろうSさん;日本人/20年から/30年間/食生活/幸せ/栄養/十分
しかし、同時に多くの問題を生じてきました。
木下;けれど/問題/起きる・起きる・起きる
ろうSさん;摂りすぎ/病気/なる
例えば、西洋化に伴い食塩と油脂類の摂取量が多くなっています。
木下;例えば/食べる/指さし(食べ物)/外国/同じ/変わる/指さし(変化)/結果/塩/油/増加
食塩の摂り過ぎは高血圧の原因となります。
木下;塩/食べる/過ぎる/血圧/高くなる
ろうSさん;高血圧/原因/しょっぱい/摂りすぎ/
また油脂類・肉類の摂り過ぎは心臓病・動脈硬化につながります。
木下;油/肉/食べ/過ぎ/心臓/止まる!/血液/止まる/起きる/うなづき
ろうSさん;心臓病/動脈硬化/油っぽい/肉/食べ過ぎ/
したがって、これらの摂り過ぎに注意することが生活習慣病の予防にもつながります。
木下;だから/塩/油/食べ過ぎ/注意/必要/生活/クセ/病気/防ぐ/できる
ろうSさん;生活/注意/必要/病気/なくなる
また「習慣」ということで考えてみると「何を食べるか」ということの他に、
木下;また/生活/クセ/指さし(クセ)/問題/何?/塩/バツ/油/バツ/だけ/違う
ろうSさん;毎日/何を食べるか/どのように食べるか
「どのように食べる」ということ、「食後の運動」なども大切ではないでしょうか。
木下;食べる/方法/指さし(方法)/例えば/食べる/終わる/後/運動/大切/うなづき
ろうSさん;食後の運動/大切/じゃない
健康に関する情報や知識は町に溢れていますが、
木下;健康/ついて/情報/たくさん/ある/けれど/
ろうSさん;健康/情報/知識/皆さん/こわい病気
皆さんも今日をきっかけにご自分の食生活から点検し、
木下;みんな/これから/自分/生活/食べる/指さし(食べ物)/チェック/お願い/
ろうSさん;きっかけ/自分/健康/ため/心がまえ/しよう
健康な毎日が過ごせるように心掛けましょう。
木下;健康/暮らす/できる/ため/注意/お願い
こんな感じになりました。みんなで議論したからといって、これだけ内容に隔たりがあったら、一つにまとめることは、そう簡単にはできないでしょう。
それと、下線を引いたところは、日本語の文章として少し意味がつかみにくい部分です。日本語の「文章」から手話に翻訳する学習の場合、ろう者はどうしてもこういう部分で「本来の自分の手話にしきれていない」ように感じました。
そこで僕は、意見として「文章から手話を考える場合、文章の苦手なろう者は、逆に文章どおりの手話表現になってしまう。そこでまず聴者講師が手話に換えてみて、ろう講師は、その「手話を見て手話表現をチェック」したら良いのではないだろうか?力を発揮できると思う。」と提案しました。
僕の意見に対して、別のろう講師から「木下の意見も良いが、ろう者が<文章を見て手話表現を考えたもの>に対して聴者講師から「日本語の意味のとらえ方のチェック」をしてもらうことも、ろう講師にとっては大変勉強になる」との素晴らしい意見も出されました。
これで午前中はお仕舞い。午後は、馬場講師の「日本語−日本手話間の翻訳技術」の講演を聴くことができました。午前中の作業とは全く違った展開で、「あれはいったい何だったのか?」との思いも頭をかすめましたが、これはこれで大変勉強になりました。
次回は、馬場さんのレジュメ&講演をできるかぎり再現したいと考えています。乞うご期待を!
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