<選挙について知ろう2004.01.02>
[2004年7月は参院選です!]
え〜、選挙というのはどうも苦手で…って、毎回書いてるのですが、とりあえずまた時事通信社のホームページ「選挙のしくみ」で復習しましょう。
まず、現在の状況は、
1.茨城県選出国会議員
<衆議院>
11月9日に総選挙があったばっかりなので記憶に新しいと思います。
〔選挙区・小選挙区制(1選挙区1名)〕
区 市町村 当選者名 政党名 1区 水戸市▽下館市▽下妻市▽笠間市▽東茨城郡常北町、桂村、御前山村▽西茨城郡七会村、岩瀬町▽真壁郡関城町、明野町、真壁町、大和村、協和町 赤城 徳彦
(あかぎ、のりひこ)44歳自民前
5回目2区 鹿嶋市▽東茨城郡茨城町、小川町、美野里町、内原町、大洗町▽西茨城郡友部町、岩間町▽鹿島郡旭村、鉾田町、大洋村、神栖町、波崎町▽行方郡麻生町、牛堀町、潮来町、北浦町、玉造町 額賀福志郎
(ぬかが、ふくしろう)59歳自民前
7回目3区 竜ケ崎市▽取手市▽牛久市▽稲敷郡江戸崎町、美浦村、阿見町、新利根町、河内町、桜川村、東町▽北相馬郡守谷町、藤代町、利根町 葉梨 康弘
(はなし、やすひろ)44歳自民新
1回目4区 常陸太田市▽ひたちなか市▽那珂郡東海村、那珂町、瓜連町、大宮町、山方町、美和村、緒川村▽久慈郡金砂郷町、水府村、里美村、大子町 梶山 弘志
(かじやま、ひろし)48歳自民前
2回目5区 日立市▽高萩市▽北茨城市▽多賀郡十王町 大畠 章宏
(おおはた、あきひろ) 56歳民主前
5回目6区 土浦市▽石岡市▽つくば市▽稲敷郡茎崎町▽新治郡霞ケ浦町、玉里村、八郷町、千代田町、新治村▽筑波郡伊奈町、谷和原村 丹羽 雄哉
(にわ、ゆうや)59歳自民前
9回目7区 古河市▽結城市▽水海道市▽岩井市▽結城郡八千代町、千代川村、石下町▽猿島郡総和町、五霞町、三和町、猿島町、境町 永岡 洋治
(ながおか、ようじ)52歳自民前
2回目
〔比例区・北関東ブロック〕
小泉 俊明(こいずみ、としあき)46歳 民主前 (2) (元取手市議)
<参議院>
〔比例区・茨城県〕
参議院は、「任期は6年だが、3年ごとに半分に分けて改選(かいせん)する」ということで、定数4の茨城選挙区は、2名ずつを3年に1回選んでいます。(詳細は「(2)参議院選挙のやり方」参照)
前々回は、久野恒一さん(自民)と郡司 彰さん(民主)が選出されましたが、平成14年10月17日久野議員の死去に伴い平成15年4月27日投票で補欠選挙が行われ、元水戸市長の岡田 広さん(自民)が選出されました。
〔第18回参議院選挙・茨城選挙区(1998年(平成10年)7月12日投票)〕
茨城選挙区 当選者数=2 | ||||
氏名 | 年齢 | 党名 | 前新元 | |
久野恒一 | 真壁郡協和町 | 自民 | 14/10/17 死去 |
|
岡田 広 | 56 | 元水戸市長 | 自民 | 15/04/27 補選 |
郡司 彰 | 54 | 党県副代表 | 民主 | 前 |
前回は、次のお二人が当選されています。
〔第19回参議院選挙・茨城選挙区(2001年(平成13年)7月29日投票)〕
茨城選挙区 当選者数=2 | ||||
氏名 | 年齢 | 肩書 | 党名 | 前新元 |
狩野 安 | 66 | 党副幹事長 | 自民 | 前 |
小林 元 | 68 | 元交通委員長 | 民主 | 前 |
従って、今回は、前々回の岡田議員、郡司議員お二人が改選になるわけです。
2.参議院選挙のやり方
参議院の任期は6年ですが、3年ごとに半分に分けて改選するという決まりがあるため、選挙は3年に1回行われます。
つまり1回の参議院選挙では、選挙区と比例代表のそれぞれ半数の議員が新しく選ばれ、残りの半数はその3年後に行われる選挙で選ばれるわけです。
ここが、1度の選挙で議員全員を選出する衆議院とは大きく違う点です。「参議院の継続性(けいぞくせい)を保ち、国会の空白(くうはく)を防ぐ」ことが目的とされています。
〔1〕改選議席数
2001年から参議院の定数が242名に削減されたため(それまでは252名)、改選数は121名です。
このうち比例区が96(改選数48)、選挙区が146(改選数73、茨城県は2)
衆議院と同じように、投票する人は選挙区と比例区の2回投票します。
〔2〕比例区・改選数48(全国1つの選挙区)
比例区は、日本全国を1つにまとめたもの(かつての全国区)で、政党などに所属(しょぞく)した候補者だけが立候補する制度です。
2000年(平成12年)10月の国会で法律が改正され、参議院の選挙制度は、2001年(平成13年)の選挙から比例区は、「非拘束名簿式」に変更されました。(それまでは「拘束名簿式」)
従来の「拘束名簿式」の場合は、政党があらかじめ候補者を順位付けした名簿を提出し、有権者は政党名で投票しました。各政党の議席数は得票に応じて配分され、当選者は名簿順に決まっていました。純粋に政党を選ぶ方法だったわけです。
しかし、改正後の「非拘束名簿式」の場合は、政党は候補者の順位付けをせずに名簿を提出します。有権者は候補者の個人名か政党名で投票します。各党への議席配分は候補者名と政党名の得票の合計で、当選者は候補者個人の得票順で決まります。
この「候補者個人名での得票が政党の得票数に合計される」というところに、いわゆる「タレント候補」がもてはやされる仕組みがあるわけです。逆に言えば、政党名ではなかなか選挙を戦えなくなってきたため、有名人のネームバリューを使って「浮動票」の取り込みを計りたいという意図がこうした仕組みを生み出したともいえます。
新聞を読むと今回も元スキー選手や元プロ野球監督、あるいは登山家などの名前が挙がっています。現役の映画俳優がカリフォルニア州知事になる時代といえばそれまでですが、あくまでも「政党を選ぶ」選挙なんだと言うことを忘れずに投票したいものです。
〔3〕選挙区・茨城県改選数2
選挙区は、全国を都道府県ごとに47つに分けて当選者を選ぶ制度で、投票する国民は政治を任せたい候補者の名前を書いて投票する。
つまり茨城県全体で2つの議席を争うことになるわけです。
新聞を読むと、(1)で書いた現職の、岡田議員(自民)、郡司議員(民主)を中心に、共産党県福祉委員長の田谷 武夫候補(52歳)などを交えた選挙戦が予想されているようです。また、”自民党は「2議席独占」をめざして2人目の候補者を模索中”などとも書かれています。
3.そして「選挙制度」「政治情勢」について勉強し、さらに「参政権」について勉強してみよう。
日程的には、7月11日投票というのが今のところ考えられているようです。
選挙に向けて、例えば手話サークルなどでどんな活動ができるでしょうか? 3つの段階が考えられると思います。〔1〕勉強段階、〔2〕問題発見・解決方法の検討、〔3〕当面できる活動の実行です。
〔1〕勉強段階
〈1〉まずは、選挙制度そのものについて勉強してみてはどうでしょうか? 1.2.に書いたように、現行の参議院選挙は「比例区」と「選挙区」に分かれています。これは昔で言うところの「全国区」と「地方区」みたいなもんで、「比例区」は全国で48名選ぶ=各政党が比例区の名簿(1月1日の新聞にすでに現在の候補者名簿が載っています。)に載せた候補者の中から全国民の投票によって48名が選ばれるわけです。
「選挙区」は、要するに「茨城県選挙区」なのです。茨城県民が2名の議員を選んで国会に送ることになります。
全国の聴覚障害者の願いを国会で積極的に訴えてくれるような候補者が「比例区」にいるでしょうか? そんな政党がありますか?
茨城の聴覚障害者の思いを国会の場にキチンとつなげてくれるような地元候補者が「選挙区」にいるでしょうか?
〈2〉そうすると、果たして今の政治情勢や選挙勢力図などについての知識や理解がないと「政党や候補者を選びようがない」と思いませんか? つまり政治そのものに関する勉強が次に必要になってくると思うのです。
1995年6月に世田谷で「参議院選挙の争点及び各政党の政見についての勉強会」を開いたことがあります。毎日新聞社 世論・選挙センター室長のSさんをお招きしました。(以前、毎日新聞の取材を受けたことがあり、その記者さんを通じてお願いしました。)
その時の勉強会の始めに僕はこんなあいさつしてました。
「今回は初めて政見放送に手話通訳がつくということで、今、手話通訳士の勉強会が進められている訳ですが、その中でも、そもそも今の政治の情勢とか、選挙の様子とか各政党の政見の違いについて、もうちょっと基本的な勉強も合わせてしていかなければいけないんじゃないかと痛感して…」
つまり、手話通訳するにしても政党によって言葉の用い方やその意図するところががらっと変わったりします。そういう基礎的な教養なしには通訳できないだろう、というのが勉強会をやろうと思ったきっかけでした。
しかし、実はこのときには手話サークルのメンバーを中心に聴者だけの勉強会だったため、後日聞こえない先輩から厳しい批判のメールをいただきました。僕が考えたのは「手話通訳する上で理解が不十分な知識を予め補うための勉強会だったので、手話通訳を手配すること自体できなかった」と伝えたのですが、理解していただけませんでした。ろう者と共にこうした勉強会を開くことの意義が重要であることは僕も十分認識していますが、「手話通訳のための」「聴者による事前勉強会」の是非については未だに僕の中では「やはり必要なんじゃないか」という認識でいます。1回目=事前勉強会と2回目=ろう者との勉強会というように2段構えだったら良かったのかなぁ?
〈3〉そしてもう一つ「参政権」についての勉強があります。このページは今年の参院選そのものをご紹介することが趣旨なので、この項目の説明は省略します。(参考;98年7月号たんぽぽ機関誌に掲載した「サンセイケンってなんだ?」)
〔2〕問題発見・解決方法の検討段階
ここは、勉強の中から明らかになってきた「参政権」を巡る現状と問題点を整理して、その対策を考えてみようというものです。
「参政権」を保障するための具体的運動の立案といってもいいと思います。
例えば、政見放送を考えてみると、現行の選挙制度では、
比例区 手話通訳をつける事が制度化されています。1998年の通常選挙では14政党のうち13政党が手話付きの政見放送を実施。 選挙区 手話通訳をつける事は認められていますが制度上規定されていません。
比例区の政見放送は全国ですから、今回もまた日本手話通訳士協会が対応されると思います。では、選挙区はどうするのか?
世田谷区の聴覚障害者協会は、選挙のたびに立候補予定全政党に「選挙における聴覚障害者への配慮に関する政党の考え方」について質問状を出していました。各政党の聴覚障害者福祉や手話通訳手配への姿勢を問いただすわけです。
また、街頭演説や個人演説会に手話通訳をつけて欲しいとか、つける場合にはどこどこへ連絡してくれれば手配する用意があるとかの要請も行っていたように思います。
あるいは、手話通訳・OHP字幕付き政見放送ビデオ集会の取り組みを行っている地域はかなりあると思います。
今の公職選挙法はかなり窮屈で、様々な制約がありますので、こうした運動が選挙違反にならないよう法的なチェックが必要ですが、私たちのアイデア次第でまだまだいろいろな参政権運動が可能ではないでしょうか? みんなで議論し、いろんなプランを練ってみてはどうでしょう?
〔3〕当面できる活動の実行
〔2〕で考えたようないろいろなアイデアを出すことはみんなで集まれば意外とできるものです。しかし、それを実行するのはとても大変なことです。
まず、第一に「時間的な制約」があります。参議院の選挙運動期間は17日間(ちょっと自信ないけど)です。
立候補者を事前に知ることや、各政党の選挙本部と連絡を取ることとか、あるいは県の選挙管理委員会とコンタクトを取ることなどは、実際にやろうと思うとなかなかできないもんです。今はインターネットでかなりのことを調べられるようになっていますが、かつては各候補の選挙事務所の電話番号一つ調べるのも大変でした。
次が、「平日昼間動ける人の確保」という課題があります。選挙運動は基本的に平日昼間が占める部分が多いので、やはり平日昼間に動ける手話通訳者を手配できるかどうかは、参政権運動を担っていく中でかなりネックになるのではないかと思います。
参政権運動にそれほど「もの(政見ビデオ集会の機材とか…)」は必要ないと思いますが、「金」はどうでしょうか? 手話通訳者への謝金が公職選挙法上どのように扱われているかはキチンと確認しておきたいものです。でも、各政党・候補者にキチンと手話通訳者への謝金を準備してもらうことは重要なポイントかと思います。
そのほか、OHPやパソコン要約筆記者との連携も当然必要になってくると思います。確か新聞でも紹介されていたと思いますが、長野県のパソコン要約筆記グループ(「長野サマライズセンター」)の活動が参考になると思います。
4.「参政権」は政治や選挙に関するイマジネーションを広げて
どんなに一生懸命「参政権」について勉強しても、その権利を行使しなければ「絵に描いた餅」です。7月11日(日)投票ということですので、ろう協やサークルのメンバーに呼びかけて、是非みんなで「選挙に行きましょう!」
「投票に行こう!」って言っても、実は、「だって誰に投票したらいいか、さっぱり分からないんだもん。」「そうはいっても投票したいような人がいないんだもん」という人も多いのではないでしょうか。
参政権は、「選挙権(選ぶ権利)」だけの問題ではなくて、「被選挙権」つまり立候補する権利も問題にしてます。ここは一つ、「それならいっそ我々の仲間の中から立候補者を出そう!」くらいのつもりで、選挙について勉強してみると、さらに面白いと思います。
立候補するとなると「立候補届出」や「選挙運動」についても知らなくてはなりませんし、対抗馬を研究することで「そもそもどんな人が政治家になっているのか」なんてことにも関心が及びます。
そして、私たちのかつぐ立候補者が決まったら(まあ、仮りでけっこうですが)、一般の市民に向かってどんな選挙運動をしてみようかって想像して企画を練ってみると、さらにいろいろな発見があると思います。
「どうして、誰に投票したらいいかさっぱり分からないのか?」は、イコール私たちのかつぐ立候補者の言いたいことも一般市民になかなか届かないということなのです。そういう仕組みに今の選挙制度はなっているのです。
できるだけみんなに分からないように知らせないように選挙を行う選挙制度っていったい誰のための選挙なのでしょうか? 「投票したいような人がいない」選挙がまかり通って、それで地方や国の政治を動かす「政治家」が”選ばれ”ていくのです。いったい誰が”選んだ”というのでしょうか?
そんなこんなもひっくるめて、今年の参院選挙をきっかけに、さらに「参政権」について理解を深めていきましょう。
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