イベント報告(ちょっと今回は写真が多くて重い・・・スミマセン)

第11回ろう教育を考える全国討論集会in奈良

1999年8月7日(土)8日(日)
会 場;奈良県文化会館ほか
参加者数;1,005名

  この集会は、次のような目的の元に毎年各県持ち回りで開催されている。

<「ろう教育を考える全国討論集会」とは?>

 「聴覚に障害を持つすべての子どもたちの教育と将来」について、聴覚障害教育に深く関わる立場の人々(教育関係者、父母、聴覚障害者、手話関係者、ボランティアなど)が一堂に会し、共通の願いを確認するとともに、聴覚障害教育のあり方を考え合い、もってその発展に寄与することを目的とする。」
 会場で感じたのは、教育関係者つまりろう学校の先生もさることながら、親たちが、たいへん熱心に参加されていることだった。
 教育の問題を教師と親が対等に議論できる場、それがこの討論集会の一番の意義だろう。
 また、東京で開かれた第4回討論集会に参加した時には、高等教育(大学教育)の分科会に顔を出したが、そこでは、大学における聴覚障害学生に対する情報保障の問題が大学の教官と学生+元学生の間で「過激な」議論がなされていた。

<取りあえず感想>

  とにかく今回の集会は「良かったなあ」と感じることの多い集会だった。

1.記念公演(鳥越隆士 兵庫教育大学助教授)が良かった。
鳥越さんの話しは、ポイントが分かり易い。
「言葉は教えられるものではない」、従ってその教育は、「子どもの持つ力をどう発揮させてやるか」という視点から、「手話を第一言語とし、バイリンガルな教育(二つの言語による教育)によって日本語の獲得を目指す」という道筋について話された
そして、内言語(一次的言語)から外言語(二次的言語)へと言葉を育てていくためには、<会話の広がりと深まり>が何よりも大切だと説かれた。

今僕の周りにいる成人ろう者たちは、鳥越さんのような発想の元に育ってきたのではなく、口話(こうわ)一辺倒なろう教育のもとで、たいへんな苦労をしながら日本語の単語を発音し、読みとることに全精力を傾けてきたのだろう。そして、ある程度、日本語ができるようになるが、「自分の頭の中で考え、他人に分かるように話す」という訓練をあまり重視しない環境で育てられてきてしまっている訳だ。
これまで、「手話と音声語という言葉の違いの壁なのか?」と諦めてきたような「行き違い」の原因が、実は教育環境に原因があるのかもしれない、と思わされ、気付かされるような講演だった。

2.分科会も充実していた。
お母さんたちの熱意あふれるレポートに心が震えた。
名古屋のお母さんの「せっぱ詰まった状況」からの発言は、この分科会で討議されている内容が、明日からでも実践に生かされることを実感させられたし、東京の小林さんからは、ろう学校の統廃合が着々と進められている生々しい状況とそれに対する強い危機感が訴えられた
また、「信頼に足る教師」が必要だ、との親たちの声は、教師と親が同じ土俵で対等に議論できるこの討論集会の意義を感じた。

そのほか、関西の各県にろう重複の親たちの会が続々と発生している状況を知り、関東も負けてはいられないぞ、との思いを新たにした。
司会進行は、ろう学校の現役の先生だったが、進行がスムーズで時間が有効に使えた。

この集会は「ろう教育」というはっきりしたテーマがあるため、参加者が絞り込まれ、問題意識も比較的共通している。分科会ごとの継続的な参加率も高いのではないだろうか。
また、教師や親など日常的な実践を持った参加者の割合が高いため、討議における発言内容も具体的でたいへん勉強になり、かつ役に立つ情報が得られる。

3.奈良はとってもいいところだった。
土曜日の夜は「第44回納涼猿沢池盆踊り」にブチ当たってラッキーだった。池の中央(水の中)から櫓が立ち、その隣で太鼓・三味線に合わせて歌い手が盆踊りの歌を延々歌い続けていた。生演奏による盆踊りだ。でも、一般人で踊っている人はいなくて、頭を剃って、奇異な装束に身を固めた、全身真っ白けの男性が、不思議な踊りをしながら、池の周りを回っていた。
さらに8月6日(金)から「なら燈花会(とうかえ)」が開催されており、夜10時ギリギリセーフで浮雲園地に間に合い、4千近い一客一燈のろうそくの灯りの幻想的な光景を堪能できた。

日曜日には、東大寺の大仏・二月堂・春日大社・奈良公園・興福寺など、のんびり散策できた。奈良公園内の喫茶店で食べたグリーンティとわらびもちがメチャ美味かった。

<興福寺の五重塔> <東大寺・大仏殿> <二月堂>

4.宿舎(三井ガーデンホテル)が居心地良かった。
エアコンが気にならないホテルは珍しい。温度設定が0.5度刻みでしかも微妙にエアコンが動いて空気の乾燥も気にならなかった。さらに、シティホテルなのに大浴場が11時30分まで使え、夜遅く宿に戻ったにも関わらず一風呂浴びて汗を流し、サッパリすることができた。

奈良はとっても良い所。また、来年この時期に遊びに来れたらイイなぁと思った。
でも、来年の「第12回ろう教育を考える全国討論集会」は、2000年8月4日(金)〜6日(日)北海道は札幌市民会館で開催です。う〜ん、北海道もイイなぁ。でも、金がかかりそう。
今回の集会の記念講演や分科会の内容については、もうしばらくお時間を!

「スゲェ楽しかった。また行きたいなぁ、奈良。」

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