木のつぶやき
1999年11月17日(水)晴れ

 国の決まり事はこうして決まる。「衆議院厚生委員会」傍聴記

 今日は、会社の労働組合の「動員」で衆議院の厚生委員会なるものの傍聴に行ってきました。現在開かれている第146回臨時国会に提出されている「年金改正法案」の国会審議を聞くためです。  

 『図説 日本はこうなっている 政治のしくみ』(加藤秀治郎・橋本五郎編著、95年6月、PHP研究所)によれば、国会における法案の審議、つまり法律が国会の場でどのような話し合いを通して決まっていくかは、次のようになる。

  1. 衆議院本会議で趣旨説明(今回は、春の通常国会の会期末に法案提出後、全く審議されていなかったのですが、こういう状況を「つるし」というそうです。)
  2. 委員会(今回は厚生委員会)に付託(これを「おろす」と言うそうです。)
  3. 委員会での審議(今日僕が傍聴したのがコレ)
  4. 委員会での採決(自自公連立となって、委員の3分の2くらいが「与党」でした。)
  5. 本会議へ(委員会で決まれば、本会議はセレモニーだそうです。)
  6. 参議院に回付

 たましろの郷について、東京都の都議会で議論されるということはないのかもしれませんが、年金改正法という国の重要な法案が、このようにして決まっていくんだ、ということを理解し、これでいいんだろうか?と考えていただくために、少しだけ傍聴記をお知らせします。

 そもそも傍聴は何重にもチェックされて、すごくたいへん。
 まあ、過激派というのか、世の中には刃物や拳銃を不当に携帯している方もいらっしゃるので仕方ないとはいうものの、入り口から数えて3回くらいの場所で入館証を提示しジロジロとチェックを受ける。お昼休みに国会議事堂内の食堂に行くときも警備のお兄さんが誘導するし、とにかく厳重。荷物はもちろん持ち込めない。ロッカーに入れて、厚生委員会の会場に携帯できるのはノートと鉛筆だけ、という状況でした。(もちろん携帯電話もダメだと言ってました。)

 傍聴席とはいうものの20席くらいしかなくて、あぶれた人は後ろで立ち見。こりゃ大変だ。朝は運良く座れたのですが、お昼休みに一度席を立つので、午後の座席確保のため、大急ぎでざるソバをかき込み早々と戻ってきました。(そもそも午前中の審議が長引いて昼休みが15分しかなかった! 議員はいつ食べたんだろう? 午後の審議途中に中座する議員が大勢いたけど、やっぱあれはどう見ても飯を食いに行ってるよなズルい)

 肝心の審議の内容はというと、最初に厚生大臣から「法案の趣旨説明」というのがあり、続いて与党の自民党から順番に質問をしていくのです。今は自自公三党が与党なので、公明党・自由党の順番で質問し、厚生省年金局の矢野年金局長や厚生大臣自身が答えてました。
 さらにその後に野党議員の質問が続くのですが、党の議席数に応じて質問できる時間が決まっているのにはビックリ。民主党の議員は2人質問しましたが、それぞれ30分ずつ。共産党は一人だけで25分くらい。社民党に至っては13分しか割り当てがありませんでした。かつての連立与党が今や野党第3党として、最も短い質問時間に甘んじているわけです。

 質問と言ったって、これまで色々なところで議論され尽くしてきたことをおさらいしているようなもので、「白熱した議論が展開する」といった状況とはほど遠かったです。
 今回の年金改正法案には労働組合の「連合」が強く反対し、廃案に追い込むと息巻いていたので、もっと野党の議員がしつこく質問責めにするのかと期待していたのですが、どうも勉強不足というか、質問の趣旨が訳の分からないような議員もいて、拍子抜けでした。

 それでもこうして法律は決まっていくわけですから、たましろの郷の公的援助や社会福祉法人認可が都議会や都の○○委員会で審議されるとしたら、やっぱみんなで大挙して傍聴に行くべきだと痛感しました。
 そして、傍聴するに当たっては、前もって議員とコンタクトをとって、たましろの郷の必要性について発言してもらうことが、「審議された」実績となるのだなぁとつくづく思いました。

 今度はいっぺん都議会傍聴にも行ってみようと思いました。いずれ「たましろの郷」についても、都議会への要請が行われるのかもしれませんが、そもそも我々は常日頃から「議会」にもっと関心を持ち、そこで何が話し合われているのか? ちゃんと我々の生活に直結する問題が十分に議論されて決まっているのかをチェックする義務があるのではないかと感じました。

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