木のつぶやき 石油利権目当ての一方的イラク攻撃反対!
(ワールドピースナウのホームページより)
2003年3月18日(火)

国連決議なきイラク攻撃反対!

<1>イラク問題とは何だったのか頭の中を整理してみる

 先日、たまたまテレビで「NHK週刊こどもニュース」を見ました。
 イラク問題について非常に分かりやすい解説がなされていたので丸々ご紹介します。(下線は木下)

今週のわからん
イラク問題について国連の話し合い続く
'03/3/15 放送
 イラクに対して、国連はどういう態度を打ち出せばいいのか、話し合いが続いています。

 そもそもは、イラクが大量破壊兵器を作って持っているのではないか、という疑いについて、世界はどういう態度で臨めばいいのか、という問題です。

 国連は、「査察団」を作って、大量破壊兵器が隠されていないか、イラク国内を調べています。これについてアメリカなどは、「イラクは大量破壊兵器を持っていない」とウソを言っていて、持っていないという証拠を示していない。もうこれ以上査察をしても意味がないので、イラクに対する攻撃を認める決議をしよう、という態度です。
 アメリカやイギリスは、「イラクが大量破壊兵器を捨てる期限は3月17日までだ」という案を国連に出しました。つまり、17日を過ぎたら軍隊でイラクを攻撃する、という意味なのです。この案をどうするか、国連の安全保障理事会で話し合いが続けられています。

 国連には世界の191の国が入っています。でも、緊急のときに191の国が全部で話し合っていたのでは間に合わないので、世界の平和や安全の問題については、世界の国の代表である15の国が話し合うことになっています。これが、「安全保障理事会」、略して「安保理(木下注;あんぽり)」です。
 15の国は、2つのグループに分かれています。「常任理事国」という5つの国と、「非常任理事国」という10の国です。常任理事国」は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5つの国です。この5つの国は、ずっと入っているので、「常任理事国」といいます。残りの10の国(木下注;ドイツ、スペイン、ブルガリア、シリア、パキスタン、アンゴラ、カメルーン、ギニア、メキシコ、チリ)は、2年で交代します。

 話し合いで何かを決めようというときは、15の国のうち9つの国以上が賛成すれば決まります。ところが、「常任理事国」のうちひとつの国でも反対すれば、たとえ賛成の国の数のほうが多くても、認められません。これを「拒否権」といいます。

 どうして、この5つの国だけが特別扱いなのか。それは、国連が生まれたときのいきさつによります。
 第二次世界大戦で、日本やドイツ、イタリアなどと戦ったアメリカ、イギリスなどの国々は、「連合国」と呼ばれました。「連合国」を英語では、「The United Nations」。つまり、いま日本で「国連」と訳して呼んでいるのは、本来は「連合国」なのです。この連合国が中心になって、いまの「国連」の組織ができました。このとき中心になった5つの国が、「常任理事国」になっているのです。
 アメリカやイギリスの案には、フランスやロシアが反対していて、「拒否権」を使おうとしています。「拒否権」が使われると、アメリカやイギリスの案は認められないことになります。
 アメリカは、「案が認められなかったら、国連の賛成がなくてもイラクを攻撃する」と言っています。

 でも、だったら、そもそも国連で話し合ってきたことはなんだったの、という疑問が出てきます

 国連は、そしてアメリカはどうしようとしているのか、世界が注目しているのです。

【関連ページ】
 :: 国連安全保障理事会とは(2003年2月15日放送)
 :: イラクどうなるの?(1998年2月22日放送)
 
2003/3/15 放送(内容は放送時点でのものです)

 さらに「大量破壊兵器」についても、先週のこの番組で、歴史的な背景も含めて大変分かりやすい説明がなされていましたので、これもご紹介します。(下線は木下)

今週のわからん
イラクの大量破壊兵器とは
'03/3/8 放送
 中東の国イラクが大量破壊兵器を持っているのではないかという疑いについて、国連の調査団の調査が続いています。何が問題になっているのでしょうか。

 イラクに対する大量破壊兵器の調査は、次のことがきっかけになって始まりました。
 イラクは1990年、隣の国クウェートに攻め込んだのです。これに怒った世界の国々は、多国籍軍をつくって、翌年イラクを攻撃しました。これが「湾岸戦争」です。この戦争でイラク軍はクウェートから追い出され、戦争が終わりました。このとき国連は、イラクに対して、「大量破壊兵器を全部捨ててしまいなさい」と要求し、イラクもこれを受け入れました。これ以来、大量破壊兵器の調査が始まったのです。

 国連は1991年からイラク国内で大量破壊兵器を探し、見つけては破壊していました。
 このときの大量破壊兵器とは、核兵器、化学兵器、生物兵器、そして、それらを150キロ以上遠くまで撃ち込むことができるミサイルです。
 核兵器とは、原子爆弾のこと。イラクは、原子爆弾を製造している途中であることがわかりました。化学兵器は毒ガスのこと。イラクは、過去にイランとの戦争のときに、実際に毒ガスを使ったことがあります。国連の調査でたくさんの化学兵器が見つかりました。生物兵器は、人間を病気にして死なせてしまう菌やウイルスのことです。これを製造する工場が見つかりました。
 国連の調査で見つかった大量破壊兵器については、次々に破壊したり捨てたりしました。
 ところが、イラクは次第に国連の調査に協力しなくなり、1998年、とうとう国連の調査ができなくなってしまいました。
 その結果、国連として「完全に破壊しました」と確認できない大量破壊兵器がたくさん残されたままになりました。
 去年11月、国連はあらためてイラクに対して、「大量破壊兵器を完全に捨ててしまいなさい。捨てたらなら、捨てたという証拠を示しなさい。さらに国連の調査団が独自に調査します」ということを決め、イラクもこれを受け入れ、調査が続いてきました。
 つまり、「大量破壊兵器はもう持っていない」ということを証明するのは、イラクの側の責任だ、ということなのです。

 この国連の調査に対して、イラク政府は、「大量破壊兵器は全部捨てました」と説明しています。しかし国連は、「捨てたのなら、捨てたという証拠を示しなさい」と言っています。つまり、破壊しているときの写真とか、「ここに捨ててあります」とかいう場所を教えるなど、世界の国々が納得する証拠を示しなさい、と言っているのですが、イラクは、「証拠も含めて捨ててしまったので、いまはない」と説明してきました。
 アメリカやイギリスは、イラクが「大量破壊兵器は持っていない」というだけで、ちっともその証拠を示していない、と考えていて、「国連の求めに応えようとしないのだから、イラクを攻撃しよう」と準備を進めています。
 これに対して、フランスやロシア、ドイツなどは、「国連の調査団はイラク国内で調査できているのだから、もっとイラク国内を調べるべきだ」と主張して、アメリカなどのイラク攻撃に反対しています。両方の話し合いがどうなるのか、アメリカなどがフランスなどの反対を押し切って攻撃するのか。世界が息をひそめて注目しているのです。

2003/3/8 放送(内容は放送時点でのものです)

<2>イラク攻撃に「理」はあるのだろうか?(なぜ「今すぐ」イラクを攻撃しなければならないのか?)

 一方、田中宇さんのメールマガジン最新号は次のとおりです。

3月18日イラク侵攻のリスク(全文)

==〈抜粋〉==(下線は木下)
 ブッシュ大統領が間もなく始めそうだとされる「第2湾岸戦争」について、1991年の湾岸戦争のとき米軍の軍事作戦を練った元将校が「湾岸戦争のような完勝型の戦争ではなく、ソマリア戦争(1993年)のような大失敗で終わる可能性が大きい」と警告を発している。

 この元将校(マイク・ターナー、Mike Turner)によると、1991年の湾岸戦争には、4つの好条件が整っていた。<1>クウェートを「侵略した」イラク軍を叩くという明快な政治目標があった <2>十分な米軍の兵力 <3>アラブ諸国がアメリカを支持してくれたため、アラブ諸国内での反米活動を抑えることができた <4>アメリカを長期にわたる世界的な「聖戦」に巻き込んむことで自国の立場を強化しようとしていたイスラエルに口出しを許さなかった、という4点である。

 逆にソマリア戦争では、アメリカは最初ソマリア内戦を仲裁する人道目的で介入したが、その後の米軍は、反米的な態度を打ち出していたアイディード将軍の派閥を壊滅させることだけを目的にするようになり、アメリカ兵を市街地での危険な戦闘行為に駆り立てた結果、市街戦でアメリカ兵が残虐に殺された後の光景がテレビを通じてアメリカのお茶の間に流れて米国内の反戦ムードをあおり、当時のクリントン政権はソマリア撤退を余儀なくされた。

▼米マスコミの反戦と「ソマリア化」の可能性

 マイク・ターナーがいうところの「前回の湾岸戦争の4つの好条件」と、今回開戦目前といわれている「第2湾岸戦争」とを比べると、4点のうち<2>の「十分な兵力」という1点しか満たしていないことが分かる。サダム・フセイン政権が武装解除に応じている最中に侵攻を始めてしまうのは<1>の政治目的を欠いていることになる。アラブ諸国は団結して米軍単独の戦争に反対しているから<3>も満たされていない。ブッシュ政権中枢にいるタカ派の「ネオコン」の人々が強度のイスラエル支持勢力であるため、<4>のイスラエルの干渉という点も、湾岸戦争時とは正反対の状況だ。

 2週間ほど前から、アメリカのマスコミはものすごく反戦論調が強くなっている。911事件後、ずっと体制翼賛的な臭いが強かったアメリカの最有力紙ニューヨークタイムスは、最近では連日のように反戦的な評論を載せている。

 またイスラエルの新聞「ハーレツ」も、戦争に反対する論調を繰り返し掲載するようになった。アメリカ単独でのイラク侵攻は、ユダヤ人にとってプラスにはならない、と主張している

 現代の戦争は、どれだけ強力な兵器を持っているかということよりも、どれだけ上手に自国と関係国の世論を味方につけられるかという「プロパガンダ」の側面の方が重要である。クリントン政権によるソマリア戦争の失敗は、もともとアメリカ政府が米国民にソマリアでの戦争の必要性を十分納得させることができないまま軍事介入し、その上でアメリカ兵が戦闘中に残虐に殺されたという光景を米国民が見てしまったことに起因している。 <中略>

▼大統領にとってリスクが大きすぎる戦争

「ブッシュ政権は、短期間に完勝できるシナリオを持っているはずだ。だから反戦運動が盛大になる前に戦争は終わるだろう」という予測もある。だが「戦争」というものは、事前の予測を超越する出来事である。開戦したら、どっちに転ぶか分からないのが「戦争」だろう。短期戦で完勝するということは、結果としてはありえても、事前のシナリオとして米政府がそれに頼ることはできないと思われる。ブッシュ政権は危ない賭けを始めたことになる。

 歴史上、世界の人々のこれほど強い反対を押し切って行われる戦争は初めてである。このまま3月20-22日ごろに開戦すると、イギリスとスペインは国内世論がさらに強く反戦に動き、早々に「同盟軍」から脱落する可能性がある。開戦後、戦争が長引いたり、米軍が戦争犯罪まがいのことをやっていることがマスコミに暴露されたら、ソマリア型の撤退を余儀なくされ、ブッシュは史上最悪の大統領というレッテルを貼られて敗北することになる。 <中略>

▼中道派はフセインを温存したかった? <略>

▼イラク侵攻に至る対立の仮説 <略>

▼秘密交渉の可能性

 ここ2-3日、もう一つ気になっているのは、アメリカとイラクとの秘密交渉についてである。ロンドンのアラビア語新聞「アル・ハヤット」がイラク側の情報として3月13日に報じたところによると、アメリカとイラクの代表が欧州などで会合し、戦争なしですませる方法について交渉しているという。

 アメリカ側は、イラク侵攻を回避する条件として、フセイン大統領が権限のない大統領に退いた上で国内各派による連立政権を作るとともに、イラクへの米軍駐留や、イラクがイスラエルを国家として承認すること、イラクの油田の利権をすべてアメリカに渡すことなどを挙げているという。

 私の知るところ、このニュースはロシアのプラウダ以外転電していないため、信憑性に疑いがあり、その後続報もないが、この手の交渉が行われている可能性はある。

3月15日「ビンラディン逮捕劇の怪しさ」

<3>こんな無茶苦茶な戦争を僕らは黙って見ていていいのか。戦争を止めよう、踏みとどまらせよう!

 それと、最後にいろいろ情報集めている内に、こんなサイトをみつけましたので、ご紹介します。
 何か反対行動をしたい、でもどうしたらいいかよく分からない、という方は是非ご覧下さい。

 何でもいい、関心を持つだけでもいい、いつもより新聞をじっくり読むだけでもいい、友だちと「イラクって今攻撃しないと本当にヤバイのかな?」って話してみるだけでもいい。一人一人の「何か」が必要だと思う。

○ワールド・ピース・ナウ http://www.worldpeacenow.jp/
 ⇒もう攻撃始まっちゃってるかも知れませんが…
“WORLD PEACE NOW”on 3/21(Fri.)
[入場無料・雨天決行・事前申し込み不要]


13時 芝公園23号地(東京タワー近く)集合。
  13時30分 ピースパレード出発 
(銀座コース:愛宕通り〜外堀通り〜数寄屋橋〜鍛冶橋駐車場約3キロ1時間。大使館コース:東京タワー〜桜田通り〜日比谷公園霞門 約2.5キロ45分/の2コース。)(途中で抜けても大丈夫です。)

ワールドピースナウのコンセプトは次の4つです。
「この48時間にできること」というコーナーもあります。
 1もう戦争はいらない。
 
  "PEACE without WAR is possible"
3イラク攻撃に日本政府は協力してはダメ。
   "Don't let Japan help the attack."
 2イラク攻撃に反対。 "We are against attacking Iraq."
4非暴力アクションとして行う
   "We act peacefully, nonviolent."

<4>根拠正しい戦争なんてないけれど…やっぱ因縁(いんねん)つけてるとしか思えない!

 とうとうアメリカ・ブッシュ大統領は、48時間以内にフセインが国外退去しなければ、攻撃だ!と演説しました。(3月17日)
 最初は9.11テロに関連して、オサマビンラディンなどテロ組織をイラクがかくまっているとの理由からイラク攻撃が必要だということだったはずです。
 ところが、ビンラディンがなかなか見つからないため今度は、国連査察による「大量破壊兵器の廃棄」が不十分であるからイラク攻撃が必要だという理屈を持ち出し威嚇し始めました。
 そして、その「大量破壊兵器」がどうしても見つからなくて、最後は「暴君フセインがけしからん」として、彼の亡命を攻撃回避の条件に持ち出しました。
 イラク攻撃の理由がいかに根拠に欠けるものであるか、この間のアメリカの言い分をちょっと冷静に聞いてくれば、すぐ見抜くことができます。都合が悪くなると次から次へと言い訳を勝手に変えて「とにかく先制攻撃だ」というのです。

<5>誰のための戦争なのか? アメリカ経済を、世界経済をさらに奈落の底に突き落とすことになるのでは?

 3月18日の朝日新聞夕刊2面には、小さく「米の補正予算1000億ドル規模か」との記事が掲載されていました。
 その記事によればイラク戦争の戦費や戦後処理にかかる費用を賄うために「1000億ドル=11兆9千億円」の補正予算が必要だとのこと。
 田中宇さんの記事にもあったように(3月11日「イラク侵攻とドル暴落の潜在危機」)財政赤字をかかえるアメリカにとってこの数字はいったい今後どんな意味を持ってくるのだろうか? イラクの民主化というけれども、国連決議を無視しての戦争突入によってもたらされる「戦後処理」に、各国が喜んで資金を提供するのだろうか?

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