新聞切り抜き帖
2004年5月20日(木)朝日新聞・朝刊
介護保険改正 厚労省案
06年度実施目指す
05年に予定される介護保険制度の初の本格的な改正へ向けた、厚生労働省案の骨格が19日分かった。
新たに20〜39歳も被保険者に加え、40〜64歳の保険料の半額程度を徴収する内容を柱に検討している。
同時に給付対象も、現行制度の高齢者から、障害者や難病、末期がんなど、介護や支援が必要なすべての人に広げる。
身体・知的障害者の現行支援費制度も統合する。
介護保険財政が行き詰まる懸念を背景に、当初の介護保険の目的を大きく転換する内容で、論議を呼ぶのは必至だ。
介護保険の現在の被保険者は40歳以上。主たる利用者である65歳以上の「1号被保険者」と、40〜64歳の「2号被保険者」に分かれ、1号の保険料は平均月額3293円(03〜05年度)、2号は同3043円(03年度見込み)。判明した厚労省案の骨格では、20〜39歳を新たに「3号被保険者」とし、2号の半額程度の保険料を徴収する。保険料は現在、会社員が労使折半、国民健康保険に加入する自営業者などは国の半額負担で、3号の本人負担も月額500〜1000円と見込まれる。
00年度に導入された介護保険制度は、高齢化による利用者の急増で、04年度当初予算で5.5兆円の給付総額が25年度には約20兆円になると見込まれる。現在の仕組みでは、被保険者の負担が過大になるのが確実で、財政安定化が課題となっている。03年度に身体・知的障害者を対象に始まった障害者支援費制度も、初年度から財政が行き詰まっており、介護保険との統合で解決を図る。
介護保険の担い手を拡大する場合、負担に見合う給付の充実が必要になる。現行制度は、40〜64歳は脳梗塞(こうそく)など加齢に伴う15の特定疾病でなければサービスを受けられないなどの問題点も指摘される。
このため、介護保険の目的自体を「全国民の介護・支援を全国民で支える」との内容に大幅に拡大する。高齢者や身体・知的障害者のほか、現在は支援費の対象でない精神障害者や各種の難病、末期がん患者も、要介護認定を受ける条件で対象にする方向で検討。児童福祉法で介護を受けたり施設に入ったりできる障害児が18歳未満のため、被保険者にしない18、19歳も暫定的に給付対象に加える案が有力だ。
厚労省は今後、正式案を9月にも公表、12月末に政府の介護制度改革大綱を決定する。来年1月の通常国会に関連法案を提出し、3年ごとの介護報酬見直し年度でもある06年度から実施したい考えだが、被保険者や給付対象の拡大範囲、保険料の徴収水準などで与党と調整が難航することも予想され、ずれ込む可能性もある。 (05/20 10:34)
<木下コメント>
いよいよ統合かという感じです。
僕個人の意見としては、「今回の見直しを利用して、手話通訳制度も相談支援業務を中心に、一部を介護保険制度に載せていくべきだ」と考えています。
(つづく)