新聞切り抜き帖

2003年5月28日(水)朝日新聞・朝刊

「ろう学校で手話を」子供ら救済求める

 「ろう学校で手話による教育を受けられず、憲法が保障する学習権や平等権を侵害されている」として、北海道から熊本県まで全国の耳の不自由な子どもと家族ら計107人が27日、日本弁護士連合会(日弁連)に人権救済の申し立てをした。
 申立書は、「日本手話」も第2の教育言語として認め、授業に採り入れるよう、文部科学省に勧告することを求めている。

05/27 19:27

<時事通信ニュース速報>

「日本手話」で授業して=人権救済を申し立て−ろう児ら107人が日弁連に

 ○ろう学校で「日本手話」による教育を受けられないのは憲法に定められた学習権などを侵害しているとして、ろう児と親の計107人が27日、手話による授業の実現を求め、日本弁護士連合会に人権救済の申し立てをした。
 申立書などによると、「日本手話」は独自の文法を持ち、ろう者にとっては第一言語だが、一般のろう学校では、日常的に聞こえない子供には理解できない「聴覚口話法」で授業が行われている。 

05/27 19:53

<毎日新聞ニュース速報>

手話による授業を求め、人権救済申し立て

 「ろう学校で手話を使える教員が少ないことが、子供の学習の発展を遅らせている」と、ろう学校に通う子どもとその親計107人が27日、手話による授業の実施などを求めて、日弁連に人権救済を申し立てた。
 申立書によると、公立のろう学校の授業は音声による「口話」が原則で、手話は日本語に合わせて補助的にしか用いられていない。申し立てた子どもは手話を日常のコミュニケーション手段としており、現行の授業方法では内容を十分にくみとれないという。
 このため「教員が手話を習得して授業をすれば、より高度な学習ができる」と主張し、教員の研修制度創設などを求めている。
 記者会見した東京都立立川ろう学校中学部2年の岡本翠子(みどりこ)さん(13)は「授業では先生の話が分からず、怒られたこともある。手話の方がいい」と訴えた。【清水健二】

05/27 21:01

<共同通信ニュース速報>

「日本手話」で学校授業を ろうの生徒らが申し立て

 「文部科学省が、耳の不自由な人の間で一般的に使われている『日本手話』を学校教育に取り入れないのは教育を受ける権利の侵害に当たる」として、ろう学校の生徒や親ら百七人が二十七日、人権救済申立書を日弁連に提出した。
 日本手話は、日本語を逐語訳する日本語対応手話とは異なり、独自の文法を持つ。日本語対応手話より、短く、正確に伝えることができるといい、ろう学校の生徒らが教育現場での日本手話活用を公式に要望するのは今回が初めてという。
 申立書によると、ろう学校では、聴力を最大限に生かすため、日本語の発声や聞き取りを行う「聴覚口話法」でほとんどの授業が行われており、高等部で一部、日本語対応手話が使われている程度。
 生徒間の会話に使われる日本手話は全く教えられておらず、理解する教師も少ないのが現状。
 そのため授業が理解できずに学力が伸び悩むことも多く、大学進学率の低さや就職状況の悪化につながっているという。
 申し立て代理人の小嶋勇弁護士は「日本手話で能力は十分引き出される。口語を否定するわけではなく、選択権を保障すべきだ」と訴え、申し立て人の男児も「将来は医者になりたい。手話を使ってくれればもっといろんな勉強ができる」と話している。

<新聞切り抜き帖メニューに戻る> <トップへ戻る>