第3回手話通訳指導者養成講座−その5(end)

(2002/08/31)
やすらぎ
講師;馬場 傑さん

日本語−日本手話間の翻訳技術(その2)

4.日本語と手話の違い

■語順
 ・主語(何が)〜述語(どうする) 
   日本語も日本手話も基本的には同じ。
   他の要素(対象語、修飾語、状況語など)の語順は比較的自由。
   主語は省略されることも多い、
  ただし、手話の場合、文末の指さしで主語を示す場合がある。

 例)「(私は)大学を卒業したあと・・・現在ろう学校の教師をしています。」
■疑問文
 ・疑問文をあらわす要素
   日本語:「〜か?」、しり上がりのイントネーション
     例)「あります?」
       「あるっぺ?」「あっぺ?」(茨城弁)
   手 話:表情、文末の単語の保持、相手への視線
 ・疑問詞(5W1H)
   「いつ、どこ、誰、何、どちら、どれ、どう、どんな、なぜ、いくつ・・・」
    /いつ、どこ、誰、何、どちら、どう、理由、方法、得意、いくつ・・・/
■wh分裂文、/言う/分裂文 ・・・手話独自の構文
 例)私の仕事はろう学校の教員です。
   / 私 / 仕事 /         ろう学校教員 /
   / 私 / 仕事 / 何 /     ろう学校教員 /
   / 私 / 仕事 /     言う / ろう学校教員 /
   / 私 / 仕事 / 何 / 言う / ろう学校教員 /
                 <「〜言えば」(口型)>
  例)「まずは修学旅行の目的<何?>ですが、6年間のまとめとして・・・」
     「全国で初めて立会演説会に手話通訳がついたの<いつ?>は、1967年東京都中野区で…」
     「生活習慣病というの<意味>は、これまで成人病と呼ばれていた・・・のことです」
    「猿田さんが会議を欠席したの<理由>は、体調が悪かったからです。」
■態 ⇒ ロールシフト(役割交代)
 「妻に弁当を作ってもらった。」「妻が弁当を作ってくれた。」「妻に弁当を作らせた。」
 「後輩に肩を揉んでもらった」「後輩に肩を揉ませた。」
 「彼女に指輪を買わされた。」
 「課長が部下に銀行へ行かせた。」
 「先輩に半ば強引に誘われて、しぶしぶ野球部に入った。」
 「先輩に誘われるままに、バレー部に入った。」
 「あれほど内緒だと言ったのに、彼はみんなに言いふらした。」
 「『勉強しなさい』と息子にあんなに言い聞かせたのに、聞かなかった。」
 「友人に、昨日どうして会議を休んだのかと聞いたら、なんのことはない、ただのサボりだった。」

・時間切れで講座の中で説明があったのは、ここまででした。(残念)


(以下 プリント略)

以 上

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