平成11年10月5日(火)午前9時30分〜11時30分
南大沢福祉センター研修室
八王子市初級手話講習会特別講演会レジュメ
はじめに
・今日の講演会の情報保障について(どれが一番分かりやすいですか?)
@あいさつ(声のみ)
Aあいさつ(声あり・ろう者になったつもりで)
Bあいさつ(声なし・手話なし・手話通訳もなし)
Cあいさつ(声なし・手話なし・手話通訳あり)
Dあいさつ(声なし・手話あり)⇒手話があるとホッとしませんか?
Eあいさつ(声あり・手話なし・手話通訳あり)
Fあいさつ(声あり・手話あり・手話通訳もあり)⇒見づらい・目障り?
Gあいさつ(切りがないからこれくらいで止めますが、OHP付けたり、ループを用意したり・・)
<相談してみよう>
どれが一番分かりやすい?
・どの方法がろう者にとって一番「情報保障」していることになるでしょうか?
そもそも「情報」って、なんだろう?
もしアナタが聞こえなかったら、どんな「情報」を保障して欲しいですか?
⇒必要最低限なこと、話していること全て、周りにある音声情報全て、
⇒市川恵美子さん東京支部ニュース99年9月号<視点>
「常に手話を使う」は不動のルール?
・聞こえない人がいるところでは手話を使うべき!
・聞こえる者同士での手話の会話は不自然で不自由。
・聞こえる者が自分の第一言語での討論を否定される。
・むしろ、時間や空間や情報を共有するために、その場、その時の状況に合った手段をキチンと講じることが大事。
⇒松本晶行さん(弁護士)「奪われているのは、音ではなく権利です。」
・聞こえない人の「権利」としての「情報保障」とは?
・聞こえる人なら「当り前な情報」を当り前に受け取れること
・特別な情報だけつなぐのでなく、聞こえる情報を全て伝えて、聞こえない人が「選ぶ」ことができる、ということが大切なのではないか?
<相談してみよう>
聞こえない人に対する「情報保障」って、なんだろう?
・「聞こえない」世界をどれだけ「イメージ」し、「共感」できるだろうか?
「足を踏まれている」って感じたことありますか?
「足を踏んじゃった」って気づいたことありますか?
聞こえない立場で今の社会から受ける「痛み」を感じることがありますか?(こんな時、聞こえなかったら、どうしよう?「すごく嫌だな」って感じられますか?
・手話通訳って?
手話通訳者の専門性と限界
私達にできることは、何だろうか?
<相談してみよう>
アナタの周りで聞こえない人に「つなぐ」ことのできる工夫ありますか?
1.自己紹介
木下耕一(きのした こういち)
・世田谷在住(連れ合いの実家は元横山町です)
・たましろの郷後援会 資金プロジェクト委員(東京都手話通訳問題研究会からの選出)
・東京都手話通訳問題研究会「施設班」世話人
・「せたつむり」(世田谷かたつむりを応援する会)を主催(ホームページを開設)
<「せたつむりホームページ>
URL;http://www.tk.xaxon.ne.jp/~kinocoh4/
2.皆さんもお互いに自己紹介をお願いします。
・まず、二人ずつのペアになってください。
・クラスメイトと伝え合えていますか?
・今度は、もっと「見る」ことを意識してみよう。
@どこを見てましたか?
A顔、手、口元、目元、足元?
B常に「見る」「見つめる」「見つめ続ける」ことが大切。
・「見て」何を感じましたか?
@相手の気持ちがアナタに届きましたか?
A「聞いて感じる」ことと違いがありましたか?
・次は、相手をキチンと「見て」伝えてみましょう。
@アナタの気持ちが相手に届いたかどうか、感じられましたか?
A手話は「手だけで表す言葉」ではないことが、感じられましたか?
・最後に、私達が同じ手話を学ぶクラスメイトだということを感じてみましょう。
@同時に二つのものを「見る」ことはできません。⇒1対1が基本のコミュニケーション
Aでも、手話は「集団=仲間」を生み出す力を持っている。(人の話しに加われる)
Bクラスメイトと「手話仲間」になることから始めよう。仲間と「共に学び続け」よう。
<相談してみよう>
八王子市手話講習会での「出会い」をどう育んでいくか?
3.手話を学ぶとは?(手話を通じて、社会を見つめる)
・コミュニケーションする「場」を作る ⇒手話を必要とする「人と人との関係」を作る
@自分が話したいことをたくさん考える。⇒言葉(音声語・作文)でなく「イメージ」で
A「イメージ」にならないこともある。⇒表現できないって「苦しい」?
Bどうしたらいいだろうか?⇒手話を覚えたら表現できるだろうか?⇒どうしたらいい?
<相談してみよう>
どうしたら、「ろう者と話す」チャンスが生まれるだろうか?
・一緒に汗をかく(共通の体験) ⇒ 「伝える気持ちが」が「伝わる喜び」へ
@手話サークルで「活動」してみませんか?
A同じ体験をする中から、同じ言葉(手話)を得ることができる。
B「どうしても伝えたい」という気持ちが、「やったぁー伝わったぁー」という喜びに変わる。
<相談してみよう>
手話サークルやろう協の「行事」に誘い合って、参加してみませんか?
・手話サークルとろうあ運動
@八王子市聴覚障害者福祉協会から「ろうあ運動」を学ぼう。
A聴覚障害者が支える「ろう重複者施設 『たましろの郷』 建設運動」
B聴覚障害者と共に社会(八王子)を見つめ、社会(八王子)を考え、社会(八王子)で行動してみる。(八王子⇒東京⇒関東⇒全国⇒アジア⇒世界)
C恵まれた八王子から、他の地域や全国の仲間、そして世界のことを「想う」
D都内各地に散らばる「ろう重複者」とつながる、出会う、触れ合ってみる。
⇒たましろの郷後援会と共同作業所かたつむり
<相談してみよう>
手話サークルって、ご存知ですか?定例的な活動のしんどさ・大切さ。
4.かたつむりの仲間たちとの共同体験から
・私にとってのボランティア=私にできることを、私にできる範囲で、
@私に「できる」ことって? 「できない」ことを考えるんじゃなく、「できる」ことを考える。でも、「できない」ことって、ちっとも恥ずかしくない。お互いに「できない」ことを認め合いたい。
A私に「できる範囲」って? 「できる範囲」って無限大。あと少し、もうちょっとだけ頑張ってみよう、という気持ちで。でも、無理は禁物。「今は、これだけしかできないけど・・・」時間をかけてゆっくりと。長いスパンでボランティアを広げていこう。
B大切なのは「夢」を持つことじゃないでしょうか?
<相談してみよう>
私たちにできることって何だろう?
・なぜ「ろう重複」なのか?は、分からない。テーマは何だっていい。あえて言えば、私は「ろう重複の仲間たちと出会ってしまった」ということ。(「出会い」を大切にしたい)
@1992年2月の手話サークルたんぽぽ講演会「ろう重複って、なぁに?」で初めて出会った仲間たち。93年11月第2回目の講演会で再会した仲間たちの成長ぶりに「仲間」の大切さを知った。これはゼッタイ「いい」って確信した。これからずっと応援しよう、と心に決めた。
A99年8月かたつむり海水浴で感じたこと。伝え合うのに「あきらめちゃいけない」ということ。必ずいつか伝え合えるという気持ちが大切。「分からない」ことを恐れちゃいけない。
B10月24日(日)かたつむり文化大交流会・ボランティアのパワー、ボランティアの楽しさ、ボランティアの得るもの=「自分」が今ここにいる
<相談してみよう>
10月24日(日)かたつむりの文化大交流会が立川ろう学校であります。
・「どんぐりの家」とかたつむり
@山本おさむさん「『どんぐりの家』デッサン」(岩波書店)
A圭子が成長し、学校を卒業し社会に出る時、私も願うのだろうか・・・「娘よ・・・私はあなたより一日だけ 長く生きたいと・・・」
B東京に「たましろの郷」を作りたい。
<相談してみよう>
たましろの郷後援会・東京都聴覚障害者の生涯保障をめざす会会員になっていただけませんか?(それぞれ会費3000円/年間)