タイトル | 聴覚障害者の心理臨床 | ![]() |
著者 | 村瀬 嘉代子(むらせ かよこ)編・著 | |
出版社 | 日本評論社 | |
発行日 | 1999年9月10日 第1版第1刷発行 | |
読了日 | 2003年1月7日 | |
価格 | 1,900円+税 |
本の内容
(買った時ついてたチラシより)
「聴覚障害者が心を病むとき、どんな問題があり、どんな対応が必要とされているか。専門家集団の中でも興味を持つ人が少ないゆえにあまり取り上げられずに来た問題に、日本臨床心理学会のメンバーが向きあい、現時点での課題を整理しまとめた力作。」
また、「本書は、心理臨床というタイトルから、また執筆者の一覧から推測されるように、聴覚障害者に関わる心の問題をとりあげてまとめたものである。」
そして、「本書の各執筆者に共通する問題意識は、コミュニケーションの障害がいかに人間の心理や精神衛生、人格形成に悪い影響を及ぼすかという事であろう。コミュニケーションが一方的に押しつけられる時、将来にわたって歪みをためこみ、ある時に家庭内暴力やひきこもり、精神的不安定などの形で噴出する。単なるろう教育に対する悪口はどの筆者も書いていない。冷静に事実、事例を通して考察されている。」
とのことです。
執筆者一覧(本書掲載順)
片倉さんの書評
この本は共著ですが、著者同士での打ち合わせは行っていません。それでいて、最初の高橋から最後の滝沢まで、不思議なくらいに共通しているテーマがあります。『手話というコミュニケーションは、ろう者にとって、情報を得るというだけのものではなく、それをやりとりすることによってお互いの絆と安心感が生まれてくるというものだ』という事です。
ろう者相談員の高橋は、ろう者としての自分史を語ります。母親との関わりで安心感がもてなかった、そのことが後の相談活動の際に心の傷として出現してきたと。
臨床心理士の河崎は、担当している例を紹介します。家庭が口話訓練の場になってしまって、会話のもつほのぼのとしたものを味わうことなく育った例などが紹介されました。
ろう学校の木島、琵琶湖病院の古賀、藤田の報告にも似たような状況を感じます。手話は緊張をもたらす口話と違って、肌着のような安心感をもたらすものなのでしょう。
も く じ
「聴覚障害者としてのアイデンティティ」高橋公子さん
「コミュニケーション障害とろう教育」木島照夫さん
「不就学ろうあ老人への援助」鳥越隆士さん
「聞えるってどんなこと」片倉和彦さん
「聞えない人の体験にふれて」古賀恵里子さん
「聴覚障害者外来を訪れる人たち」藤田 保さん
「聴こえる親と聴こえない子」河崎佳子さん
「聴覚障害者の心理臨床−今後の課題」滝沢広忠さん
「聴覚障害者の心理臨床から問われること−この一書を編んで」村瀬嘉代子
読後感
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