おはよう茨城(2003.01.20月収録→01.26日放映分)

「サイエンスの旅」(手話通訳=木下)
<主な番組内容>
・今回は、サポートが同じ手話通訳士仲間の白澤さんでした。彼女は「聴覚障害学生サポートガイドブック」を書いた才女で、毎回鋭いご指摘をいただくので、事前の内容チェックと練習を「それなりに」努力しました。
・今回の番組は、題名どおり県内の博物館や資料館等を見て歩くという内容でした。最初に紹介された「茨城県自然博物館」は僕の家からも近く、子どもを連れて遊びに行ったこともあったので、通訳するにもイメージをふくらませやすかった気がします。
・二番目に訪れた「水海道あすなろの里」も、守谷の手話サークル「トゥインクル」でそば打ち体験に行ったことがあり、こちらも楽しく練習できました。
・そして三番目の「小さな鳥の資料館」は隣町の守谷市だっていうし…。珍しく内容を楽しみながら手話通訳することができました。
<収録経過>
1月17日(金) ビデオ到着。今回はワープロ打ちの「ナレーションとテロップ」という資料が同封されていた。共同テレビでこんなワープロ打ちの資料は初めて?
(参考までに最初のページだけご紹介しますネ。(jpeg 58K) こんな感じで…
(1)手話表現の分からない単語を書き出したり、
(2)テロップ部分をチェックしたり、
また
(3)同録部分(ナレーションでなく撮影の中でマルちゃんなどがしゃべってる部分)は資料に書いてないので、音声からセリフを書き起こしたり、
(4)自分なりの表現の工夫のメモを書き込んだりするのです。)

今回は、ナレーション部分のセリフが全て書いてありとても助かった。また、テロップ(字幕)も全て資料に掲載されており、テロップのタイミングを計りながら事前のチェックができた。
<準備経過>
1.まずビデオを見ながらセリフを全部書き取る。
2.それからテロップ部分に赤線引いて、そこは「テロップを意識して表現する」ようにチェック。
3.手話とテロップが重なったりしないかとか、出演者がワイプで隠れたりしないかとかチェック。(これはすでに映像ができあがちゃってるからあまり意味がないのだけど、最悪の場合はワイプの位置をそこだけ別の場所、例えば左下とか右上とかに変えてもらうなどを考えておき、現地に着いてからディレクターにお願いするのです。必ずしもこっちの要望を聞いてくれるわけではないのですが…。)
4.ここまで下準備して、ようやく手話表現の練習に。 ビデオに合わせて手を動かして、映像とのタイミングを計る。テレビ手話通訳の場合は、次の画面に切り替わってしまう前に手話表現を終わらなければならない上に、ワイプの中の手話はとても小さいので、できるだけゆったりした手話で簡潔に表現する工夫がとても重要だ。僕はそもそも手話がチャカチャカせわしないので、人一倍工夫しないと…。
5.全体を通して見て、改めて「視聴者であるろう者の視点」で手話通訳ワイプ入りの映像を想像して、「映像も楽しめて、なおかつセリフの手話通訳を読めて意味がつかめるか?」チェック。せっかくのテレビ番組なのに「最初から最後まで見ていたのは手話通訳のちっちゃなワイプだけ」なんてことにならないようにするのは、とても難しいのです。まず何よりも「ろう者がテレビ番組そのものを楽しめるような手話通訳」が求められるのです。
1月19日(日) 白澤さんから携帯メール「明日どうします?」→1時に現地集合に
結局この日も練習できたのはほんのわずか・・・。いっかんなぁ〜大いに反省。
(言い訳;ビデオは金曜に届くのですが、金曜の夜は、土曜の通訳者養成の準備でいっぱいいっぱい、土曜日はその通訳者養成で昼間出払っていて、終了後は反省会が7時8時まである。今回は特に県西の通訳者研修の打ち合わせで、通訳者養成終了後古河まで移動して11時まで話し込んでたので、土曜はアウト。日曜も自治会の役員会があって、日中はアウト。練習と言ってもホント日曜の夜にやっと落ち着いてビデオを見られる状態なのです。)
1月20日(月) ・朝、必死で最終練習。
・ホントは、テレビの隣りに立って実際に通訳して、それをビデオカメラで撮影し、最終チェックをかけると良いのだけどね。画面の左右と手話の方向を合わせたり、テロップとのタイミング、あるいは手話表現の速さ・大きさなどは、ビデオカメラで自分を撮って、客観的に見ないとなかなかビデオ見てるだけではチェックしきれない。
・それともう一つ重要なのが「体調管理」。直前にあんまり練習しすぎると本番までに疲れ果ててしまう。テレビ通訳は時間はわずか15分だが、ものすごい緊張をしいられるので、ある程度の余力を残しておかないと、集中力を維持できなくなってしまう。前回は睡眠不足がたたって、リハーサルだけでメゲてしまったりした。
現地 ;
ゆりかもめ「お台場海浜公園駅」徒歩2分の台場フロンティアビル3階の共同テレビの「機材置き場」のような部屋(全然スタジオじゃないのです!)
・1時に現地1階の喫茶店で待ち合わせたのですが、白澤さんがちょっと遅れたので、結局事前の打ち合わせはできませんでした。まっ、彼女の場合、本番でビシバシ言ってくれるから、返ってあまり事前にチェック入れられない方が気が楽かも…なんて思ったりしながら・最終の台本チェック。
・1時15分過ぎに白澤さん到着。
・1時20分に共同テレビへ。
・今回は前回撮影に続きお台場のビルは2回目なので、迷わず撮影が行われる部屋へ移動できた。(茨城の場合、遠くまで撮影に出ないといけないため、案外この「道に迷う心配」って大きいのだ。)
早速、カメラ合わせ。カメラの前に立って、ワイプのためのブルーの背景チェックや、どの程度の大きさの画面で撮っておくかについてカメラマンさんといろいろ相談。特に高さについては、実際に手を動かしながら画面から手先が切れてしまわないように画面の大きさを調整してもらいます。(今回は、「隕石」を表すときの「宇宙」の手話が高い位置にあったので、そのシーンでチェック)
この日はモニターテレビの調子が悪く、テレビデオ内でビデオテープがつまちゃって2本もビデオをダメにしました。こうしたトラブルの時にも冷静さを保って対処しないといけないのだけれど、緊張の中で待たされるのは人によってはシンドイことだと思います。僕は白澤さんと引き続き台本のチェックの時間に充てられたので返ってラッキーでした。

テレビデオの調整をしている間に、今回分からなかったり自信がなかったりした単語を白澤さんに相談。
「博物館」「隕石」「化石」「シンボル」「本物」「考古学者」「教頭先生」「猛禽類」
・テレビ収録は通常の通訳と違って1時半スタートっていうともうホント1時半ピッタリから本番始まりそうな雰囲気だったり、逆にこの日のように準備でトラブってなかなか始まらない時もある。精神的にちょっとハードな部分があるかもしれません。

ようやくセッティングが終了。本番!
1回目いきなりミスって、カメラを止めてもらいました。「水鳥」でつまってしまった。
ディレクターやカメラさん、照明さんなどがじっと見つめている中でNGを出すのは、辛いものがあります。気持ちを静め、もう一回頭の中で手話を整理して、2回目の本番。

かろうじて撮影終了。途中、「小さな鳥の資料館」が上手く表せなかったり、「こんにちわ」のセリフの手話でつっかえたりしましたが、何とか持ちこたえて終了。
白澤さん指摘の部分も何とか訂正できたかな…?

即、ビデオ再生してもらって手話をチェック。
「ミスは、まあ、許容範囲。意味がつながらないことない」ということでOKもらいました。

フロンティアビルの向かいにあったデックス東京ビーチ4階の『台場一丁目商店街』の中の「ハイカラ食堂」で反省会。
反省 <白澤さんの指摘>
○手話が重い!(力が入り過ぎてるって感じ。この指摘はとても勉強になりました。)
○池田館長さんのインタビューのところの手話表現に工夫がない。もっと豊かな表現があったはず。(ここも自分では全然気付かなかったところ。)
○全体的には直前に指摘した所をなんとかクリアできていた。
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