タイトル | ろう教育の“明日”第24号 |
今号の主な内容 | いま、こどもたちは…教育現場からの発信 (奈良ろう学校幼稚部の実践より4) (三重県立ろう学校 乳幼児教室「ひよこ組」を振り返って1) 地域便り;ろう教育フォーラムin北海道報告 |
発行機関 | ろう教育の明日を考える連絡協議会 電話03−3268−8847(財団法人「全日本ろうあ連盟」気付) FAX03−3267−3445 賛助会員の加入方法については FAX0722−90−2588(事務局組織担当 駒井雅夫) E−Mai kommas@mb.infoweb.ne.jp 郵便振替 00900−3−13022 |
ジャンル | ろう教育(聴覚障害児教育) |
発行サイクル | 年3回程度 |
読了日 | 1999年7月26日(月) |
購読料 | 年間3000円(賛助会員) |
ろう教育を考える全国討論集会も今年で第11回目。従って、この「ろう教育の明日を考える連絡協議会」もそれ以上の歴史を刻んでいる訳だ。
10年前には聴覚障害者自身が「ろう教育・ろう学校を語る」こと自体がずいぶん「過激」なことだったように思う。
文部省が「聴覚障害児のコミュニケーション手段に関する調査研究協力者会議報告」を発表し、中高等部から様々なコミュニケーション手段の一つとして手話を正式に認めたのは、1993年。わずか6年前のことだ。(あくまでも幼小学部は除外されてるからネ)
その前年、92年には東京で第4回集会が開催され、私も記録スタッフとして参加。当時手話サークルたんぽぽの機関紙に寄せた原稿には次のように書いている。ちょっと長いが一部を引用する。
「胸を張って生きてゆける人づくり」
集会は、開会式・基調報告・全国ろう学校アンケート報告・特別報告「手話コミュニケーションへのアプローチ=いま聴覚障害教育に問われているもの」、それから8つの分科会に分かれての2日間の討論、パネルディスカッション「聴覚障害教育への期待、それにどう応えるか」、閉会式という流れだった。
それと「中学・高校生のためのオープンフォーラム」、「聴覚障害生徒の美術展」も2日間にわたって開催された。
私は自分の担当以外はほとんど見ることもできなかったが、「子どもの希望を尊重していくつもの選択肢の整備・拡充に努め、どの子も自分の幸せな人生の確立に挑める意欲と熱意を育む教育」こそ、ろう教育の本来の使命であり、「障害の治療の教育」から「障害者が障害者のままで胸を張って生きてゆける社会づくり、人づくり」へと高らかに謳い上げた基調報告にはたいへん感動した。
「ろう教育の”明日”」は、この「ろう教育の明日を考える連絡協議会」の機関紙である。年3回の発行なので、どうも全国集会前に「一夜漬け」的に読むことが多かったのだが、今回も同様、8月6日からの奈良集会直前の駆け込み読破となった。(実は、今日7月26日、集会直前情報を掲載した25号が手元に届いてしまった。従って正確には、「駆け込んで読まなければならない」のが、もう1冊残っている訳だ。)
いま、こどもたちは… 教育現場からの発信
奈良ろう学校幼稚部の実践より <中森礼美>
第4回 「子ども達の情報網」
三重県立ろう学校 乳幼児教室「ひよこ組」をふり返って 1 <八木 治>
最近のろう教育における中心テーマは、乳幼児教育にいかに手話を導入するか?あるいは手話の導入の有効性をどう理論づけるか、というあたりにあるような印象を僕は持っている。
それは、先の文部省の手話報告においても、乳幼児期においては、今なお、日本語(音声語)獲得のための口話(こうわ)教育が有効なのだ、との主張がはっきりと書かれているように、手話は教育界(=文部省?)において、今だに「真のアイデンティティ」を確立していないからだと思う。
文部省の言ってることは、「成人ろう者が手話を使うのは事実だから、社会に入る前の中高生が使うのは、認めるけれども、小さい時には、まずもって日本語を獲得することこそ、ろう教育の中心テーマなんだから、手話はダメだよ」といってる訳で、決して手話が聴覚障害者の言葉として認められた、という訳ではないように思うのだ。
文部省の「教育の理念」は、「ろう者=手話なんてとんでもない、いかに日本語を話せる<普通の人>に近づけるか、ということのためにこそ、我々(学校教育関係者)は日々奮闘しているのだよキミ!」と言ってる訳だ。
この厚い壁を打ち砕くには、どうしたら良いのか? 手話で教育して「りっぱな日本語を話せるろう者を育てる」なんて考えでは、日本語エライ>手話劣ってる、という図式に絡め取られたままだ。
結局は、「ろう者がろう者として、胸を張って生きていけるような教育をすること」としか言いようがないように思うのだが、「誇りを持てる人づくり」なんてことを証明できるのだろうか? だってそれは、ろう学校だけの問題ではないのだから。むしろ、今の学校教育全体の抱えている問題でしょ。
それは、むしろ「社会の方が変わらなきゃいけないテーマ」だと思う。
だからこそ、この問題は、ろう学校の先生たち「だけ」では、解決しないのだ。そこに僕は、「ろう教育討論集会」の深い意義を感じているのだ。
各地便り
ろう教育フォーラムIN北海道
いやあ、北海道ろう教育界では、ようやく「手話の風」が吹き始めたばかりなのですねえ。
「聴覚口話法一辺倒の本道のろう教育に風穴を明ける」集会となったとのこと、これからが楽しみだ。
第11回ろう教育を考える全国討論集会in奈良 開催案内
「子どもたちと歩もう21世紀へ」(8月6日〜8日、会場;奈良県文化会館ほか)
生徒が主人公に
第35回全国ろう学校陸上競技大会
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