2002年度茨城県手話通訳者養成講座2(応用・実践)  <実践第7回>

2003.2.1(土)13:30〜16:00

<カリキュラム項目>

・1/18(土)手話通訳実習(1)−担当;県西+藤代町+取手市+龍ヶ崎市グループの反省

<講座の流れ>

1.13:30〜 1/18の講演通訳実習を振り返る

・今回の通訳実習については、どのようなことを指摘したらよいのか散々悩みました。
・それは、実習を見てくれた3人のろう者が講演後「さっぱり分からなかった」と指摘したからです。
・僕も音声を消してビデオを見てみると「伝わってくるものがない」と感じましたし、受講生によっては「ちゃんとした手話になっていない」表現もありましたし、もっとひどい時には「そもそも何も表現されてない」(モレ)もありました。これらを一つ一つ指摘していくことが講師の役割なんでしょうが、「何から手を付けたらいいか分からない」状態です。
・何度もビデオを見たのですが、どうも「どこが悪い」というよりも「全てに何か足りないものがある」というのが実感でした。
・その「足りない何か」をずっと考え続けていました。
・結論としては、今回の聞き取り通訳実習の問題点を2つ指摘したいと考えています。
▲1 ; 「ろう者の視点」に立った手話通訳ができていない。
⇒自分が表現した手話を、ろう者がどのように読み取っているだろうか?という視点がない。ろう者の反応も「分かった?」という程度にしか見ていない。相手の理解の程度を考えながら次の表現の工夫する必要がある。
(ちょっと伝わりにくかったなと思ったところの次には補足を入れるとか、遅れてしまって要約した部分については「次の話しとつながっているかどうか?」を注意しながら手話表現を工夫しなければならないと思う。)
▲2 ; 日本語の理解が不十分なまま、聞こえてきた音声語を単語単位で手話単語に置き換えて、音声語とほとんど変わらない順番で表現しているだけになっている。

<ビデオ・チェック>

・取りあえず講演ビデオを振り返ってみましょう。
0:00:00:00 1時35分 Ya01 司会(稲垣さん)の通訳
「応用実践課程講師菊池弘子先生お願いします」で詰まる。
⇒どういうことか?「応用」という単語に詰まる。「課程」とは何か?固有名詞の「菊池」をどう表すか?
⇒一つ一つの手話が小ちゃくごちゃごちゃとなって文章としての意味が伝わらない。
0:01:12:00 1時35分 Tu01 菊池講師のあいさつ(読み取り通訳)
「本日はお忙しい中」「ありがとうございます」⇒間に「お集まりいただき」がモレ
「みなさんも将来通訳になるために」「よろしくお願いします」⇒間に「めざす上でいろいろ勉強になると思います」がモレ
⇒なぜモレたのか?(第1レベル)手話を読み切れなかった(第2レベル)日本語が出てこなかった
⇒日本語として意味の通じる通訳をしなければ聞き手には伝わらない。一般のお客なら違和感を与えてしまう。
0:02:00:00 1時36分 Ya02 司会(講師紹介)
「3名の方においでいただいております。」⇒3人を左手で表して右手で指示⇒右手だけで簡略に分かりやすく表現できる。
さらには具体的に座席を指さすなら「隣り・指さし」「隣り・指さし」と表現しても良い。
「応用」;手話に詰まった。
「養成」間違い「登録試験」;間違えた時の訂正の仕方は、もっとゆっくり丁寧に、かつ、ろう者の確認を。
「登録通訳者1年生として」;「一番」とは異なる意味。「1年目」等の言い換えを。
「メッセージをお願いします。」;「メッセージが曖昧な表現に」
0:03:26:00 1時38分 Og01 鶴原さんの講演
口話がない。⇒今回見てくれた3名のろう者の手話のタイプを考えれば口話は必須では?
「講師並びに関係者の皆様にご挨拶申し上げます」⇒<誰に>が表現されていない。「講師が」「報告」としか読めない。
「このような場に私たち3名をお呼びいただきありがとう」⇒「3名に来ていただきありがとう」と読める。
「3人を代表してお礼申し上げます」⇒「代表」してるように表現されていない。
※全体として「格(今誰が話しているのか、誰の話なのか)」が表現されていない。また表情の変化もなく通訳に<話し手の意図>が盛り込まれていない。

交代の仕方;代わる時はタイミングを見計らって一気に代わる。
0:06:23:00 1時41分 Mu01 鶴原さんの講演
その後会社を退職するまで
意味のないうなづきをする癖がある。
もう少し肘を上げて手話を大きく表現すると良い。
0:09:21:00 1時44分 Ta01 鶴原さんの講演
0:11:36:00 1時46分 In01 鶴原さんの講演
0:15:00:00 1時49分 In01 鶴原さんへの質問
0:15:57:00 1時50分 Ko01 鶴原さんの答え
上半身が揺れる
ろう者に視線が向いていることは良いけれども、手話表現上の目線が使われていない。
話された日本語にそのまま手話単語をあてはめて音声語順に並べるのではなく、内容を自分なりにつかんだ上で、ろう者の視点に立って分かりやすい表現方法を工夫する必要がある。
0:18:01:00 1時52分 Ya03 斎藤さんの講演
眉間にしわがよってるような表情が多いけれど、話しの意図とは異なった表情になっているのではないか。一つ一つの手話表現が小さいために意味をつかみにくい。
0:21:49:03 1時56分 Tu02 斎藤さんの講演(板書〜)
視線が話者に向いている。視線はろう者中心に。
まず、話の内容を正確に聞き取るよう努力する。曖昧に理解していては、表現も曖昧になってしまう。
分かるところだけを断片的に表現するのではなく、分からなかった言葉を省略した上で、あるパラグラフ全体の意味をつかんで表現しなければならない。
0:25:22:00 1時59分 Og02 斎藤さんの講演
0:27:40:00 2時02分 Mu02 斎藤さんの講演
0:32:27:00 2時07分 Ta02 司会(斎藤さんへの質疑)
0:36:08:00 2時10分 In02 司会(野坂さん紹介)〜
0:40:08:00 2時14分 Ko02 野坂さんの講演
0:44:23:00 2時19分 Ya03 野坂さんの講演
0:48:21:00 2時23分 Tu03 野坂さんの講演
0:52:18:00 2時27分 Og03 野坂さんの講演
0:55:17:00 2時30分 Mu03 司会(野坂さんへの質疑)〜休憩
「失敗」の手話表現。
木下は何を質問したかったのだろうか?(逐次的に通訳してみよう)
格がぐちゃぐちゃになっている。「さっき話した」のは誰?
0:59:47:00 2時46分 Ya04 再開・司会者
1:00:44:00 2時47分 Ta03
In03
座談会
話す人に合わせて通訳者が前に出たり下がったりしたのは、タイミングが遅れがちになって読みにくかった。
「質問」の手話表現
話しが重なったからといって、他の通訳者と同時に表現しては、ろう者が読めない。
話者の話の内容の理解の仕方(意味のつかみ方=要約・翻訳の仕方)に違和感を感じる場面があった。例「2年間があったからこそ」
1:07:32:00 2時54分 Ya05
Ko03
Tu04
座談会
1:15:38:00 3時02分 Mu04
Ta04
Og04
座談会
1:19:15:00 3時06分 Ya06 司会(3人への質疑)
1:20:28:00 3時07分 Ko04 質問者の読み取り通訳(ショックだった経験)
1:21:15:00 3時08分 Mu04
Ta04
Og04
回答
1:26:15:00 3時13分 Ya07 司会
1:27:04:00 3時14分 Ya08 質問Si(チームワークについて)
1:28:13:00 3時15分 Mu04
Ta04
Og04
回答
1:33:30:00 3時20分 Ya09 司会
質問Ka(テープ切れ…スミマセン)
・ポイントとなるところは、テープ起こしして、表現と突き合わせをするくらいの作業が必要だと感じましたが、今の講師体制ではとても無理なのです。受講生に分担してもらい「自分の担当した部分をテープ起こししてきてもらう」という方法などもあるかもしれないけれど、テープのダビングだけでも大変なのでできませんでした。

<講座の進め方>

・今回は、7名の実習を行ったので、一人15分ずつチェック×7=105分(1時間45分)。
・7名の実習でも一人あたりの振り返りはたった15分しかできないわけです。
・今回は1回3分の通訳を4回担当したようですが、
 (1)そのうちの1回分のビデオを見る(3分)
 (2)本人の反省(3分)
 (3)他の受講生の評価(3分)
 (4)講師の講評(3分)
 (5)もう一度ビデオの音声を聞きながら手話通訳(3分)
これだけで15分たってしまうのです。これでは、たいしたチェックはできないので、(3)他の受講生のチェックをやめて、
<ビデオチェックの進め方>
 (1)4回の実習のうちの1回分のビデオを見る(3分)
 (2)本人の反省(3分)
 (3)講師の講評(3分×2)
 (4)本人がちょっとだけ練習(2分)
 (5)もう一度ビデオの音声を聞きながら手話通訳(3分)
 (6)再度講師から講評(3分)

の計20分の繰り返しで進めたいと思います。

<まとめ>

最初に書いたポイントを再度確認してもらいます。
▲1 ; 「ろう者の視点」に立って自分の表現した手話を振り返りながら通訳する。
▲2 ; 聞こえてくる日本語をキチンと自分が「理解」できているのかどうか確認しながら、その「理解した意味」を、手話文に置き換えた(翻訳した)上で、自分が講演者になったつもりで見ているろう者の「理解」を促すように手話を繰り出していく。

<第2回実習について>

「県南手話サークル連絡会・懇談会」
日時 ; 2月2日(日)午後1時から4時くらいまで。
場所 ; つくば市小野川公民館にて
担当 ; つくば市・阿見町+石岡市グループ(5名)
 ※当日10時から小野川公民館で、県南サ連担当者と事前打ち合わせを行います。
 ※通訳担当の5名は、できるだけ10時に集合して下さい。ただし、拘束時間が長くなり体調に不安がある場合は、開始1時間前の12時に集合すれば良いです。

<2月9日第3回実習について>

★集合時間・場所等まだ決まっていません。実習担当者には個別に連絡します。
★事前資料についても、まだ手に入っていません。
★直前となってしまいますが、2月8日の講座終了後、詳しい打ち合わせを行うこととなると思います。

<今後の予定について>

2/2(日)
13:00〜
通訳実習2
・県南手話サークル連絡会懇談会の手話通訳(つくば・阿見町グループ)
2/8(土) 実践8・実習反省/第3回実習の事前学習
2/9(日) 通訳実習3(県南東グループ)
・県ろう者大会;(詳細未定)、会場;鹿嶋勤労福祉会館、 時間;未定(その他県南・鹿行グループ)
3/1(土) 実践9・まとめ&修了式
注)実習は、基本的にグループ単位で行うので、他のグループの日は自由参加。

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