2002年度茨城県手話通訳者養成講座2(応用・実践) <実践第6回>
2003.1.25(土)13:30〜16:00
<カリキュラム項目>
・1/12(日)「ろう教育シンポジウム」観察実習反省
・1/18(土)手話通訳実習(1)−担当;県西+藤代町+取手市+龍ヶ崎市グループの反省
<講座の流れ>
1.13:30〜 ・1/12(日)観察実習反省
<「観察実習用チェックシート」による振り返り>
・聞き取り通訳のサポートの方が、読み取り通訳より難しい。〈1〉
・読み取り通訳には、マイクが2本あれば良かった。〈6〉
・繰り返し出てくる言葉については、特に表現の統一が大切。〈10〉
・9枚の資料が直前に渡された。目を通すだけでも大変そう。〈11〉
・パネラーの発言に同じ言葉の繰り返しが多かった⇒表現通訳を工夫すべきだった〈11〉
・聞き取り通訳の立ち位置は、参加者からは見やすかったが、主催者のろう者はどうだったか?〈13〉
▲5名の方は事前にチェックシートを提出してくれているが、改めてグループで次の3点をまとめてもらう。(時間の経過にそって「前日まで」(これは想像するしかないけど…)「当日開始前」「開始後」「終了後」に分けて整理してもらう。)
<1>良かった点;あの対応・通訳は大変勉強になった。(今後、自分も必ず実行したい事)
<2>課 題;あの対応・通訳は、まずかった。こうすべきだった。
<3>疑 問 点;あの対応はあれで良かったのか?(判断に迷う点)
▲木下のコメント
時間の経過 観察記録 ポイント・考えられる対応(改善策) 前日まで ・事前資料がなかった
⇒どう対応したら良いか?(1)通訳者間の情報交換
(2)茨聴協への事前問い合わせ
(3)昨年の様子について情報収集
(4)ろう教育に関する最近の動向について予習(本・雑誌・機関誌等チェック)当日開始前 ・集合時間について(一人遅れた)
⇒何分前が適当か?
⇒事前にやっておくことは何か?(1)主催者との打ち合わせ=1時間前
(2)通訳者間の打ち合わせ=30分
・主催者に確認する項目の整理
・当日の流れの確認(特に照明)
・流れに沿った立ち位置
・通訳の担当割りと交替時間、順番決め
・(できれば)会場下見(意外と時間かかる)
(3)リラックス&ストレッチ開始後 ・読み取り通訳者は、どのようにサポートしているか? (1)自分の順番でない時にもサポートのために読み取っていた。⇒休憩ができない。
(2)重要な単語は、ノートにメモをしていく。
(3)司会者の発言した言葉で難しいものがあった。「カオス」「ろうモデル」「ADHD;注意欠陥多動性障害」
(4)質問者の発言の読み取りでろう学校側が質問の趣旨を理解できない場面があった。
⇒逐次的に通訳しても良かったのではないか?
(5)最後の場面で、読み取り通訳が不十分だったために、茨聴協代表者の発言がしぼんでしまったように感じた。開始後 ・聞き取り表現通訳者は、ろう者が対等に議論できるだけの情報を保障できていたか? (1)聞き取り通訳に求められる第一の能力は「言葉の消化力」だと感じた。
(2)ろう学校側からの発言は、立場上「確約を避けたい」という意図が強く表れ、あいまいな発言が多かった。そうした意図をキチンと表現できていたか?
(3)親の会からの発言は、内容の繰り返しが多く、そのままダラダラ通訳していたのでは、発言の趣旨がキチンとろう者に伝わらない。
(4)逆に、遅れるとかなり「はしょった表現」が見られたが、司会者の手話タイプを考えると、できるだけ元の発言に忠実な通訳が求められていたのではないかと考えられる。通訳者の「意訳」は避けるべきだったと思う。「意訳した部分」は表現がオーバーアクションになっていて、逆に発言の趣旨をつかみにくくしていたように思う。終了後 ・終わった後の通訳者の役割はなにか? (1)シンポジウム終了後も、パネラーへの挨拶など手話通訳を必要とする場面があった。
(手話通訳者が担う「情報保障」とは、どこまでを言うのか? その会議の成功を願うろう者の立場で考える。 逆に手を出し過ぎることは「不愉快な通訳者」になる。ろう者との信頼関係の問題か?)
(2)通訳者間の反省 ⇒やすらぎへ引き継ぎ
▲もう一度ビデオを見て、確認してみる。
0:25:00:00 12時50分 主催者(司会者)との事前打ち合わせの様子 0:26:50:00 12時52分 講習会総務から観察実習について通訳者へ説明 0:27:45:00 01時30分 会場へ入ってきたパネラーへの挨拶の場面(通訳;曽我) 0:28:22:00 01時32分 読み取り通訳者席の様子 0:29:24:00 01時33分 司会者が「開会が少し遅れる」ことを会場に説明(読取通訳;成島)
※このように突然の発言がありうるので、常にスタンバイ0:31:20:00 01時37分 開会「みなさん、天気のいいところお集まりいただきましてありがとうございます。」
※「天気のいいところ」ってどこ? 通訳者の緊張がピークに!0:31:47:00 01時38分 司会「資料をみなさまお持ちでしょうか?」
※資料を見ながらの説明は、読み取り通訳者にとってとても辛い。必ず補助すべし。0:32:28:00 01時39分 パネラー紹介「杉浦です。よろしくお願いします。」
※聞き取り通訳者の立つタイミングはあれで良かったか? また、一人一人席に座ったが…?0:33:23:00 01時40分 司会者自己紹介「最後に…、私いろいろ手落ちがあるかと思いますが(a)、司会を担当します末森と申します。茨城聴協事務局長をしております(b)。いろいろと不手際もあるかと思いますが、皆さんご協力をお願いいたします。」
※司会の自己紹介はほとんど「決まり文句」なので、もう少し工夫が必要。(a)⇒「不慣れではございますが」、(b)⇒「聴協」という略称より「聴覚障害者協会」が良い。0:34:14:00 01時40分 司会「前、お話ししました。…前置きが長くなりましたが、」
※すかさずサポート(曽我さん)が読み間違いを指摘!0:34:33:00 01時41分 司会「今、日本のろう教育は変わりつつあります。カ・オ・スという言葉知っていますか?そういうような状態になっていると思います。」
※「カオス(混沌とした状態、混乱)」という指文字の読み取りに戸惑った。これでかなり動揺してしまった。0:34:55:00 01時41分 司会「ろう学校の中で手話を認めて欲しいとか、コミュニケーションの…(c)、ろう教員の配置をして欲しいとか、」
※…(c)読み取れず、サポート者にマイクを向けたが、アドバイスを受け自分でまとめ読み? 気持ちがやや引き気味になってしまっていた。曽我さんはサポートの声が聞きやすいように席を成島さんに近づけた。0:35:22:00 01時42分 司会「まず一番目の問題、…文部科学省が去年…、特別支援学校という…」
※曽我さんが先に「もんぶ」と読んでサポートしている。このように先に一言言ってあげるサポート方法もあるが、難しい。「特別支援学校」は重要単語。ろう教育に関する事前学習でフォローできるはず。0:38:06:00 01時44分 水戸ろう学校・杉浦先生(聞き取り通訳;小野さん) 0:38:35:00 01時45分 司会者に指摘を受け、立ち位置を修正 0:40:36:00 01時47分 司会「ありがとうございました。続きまして塙先生はいかがでしょうか。」(読み取り通訳;曽我さん) 0:40:43:00 01時47分 霞ヶ浦ろう学校・塙先生(聞き取り通訳;大西さん) 0:41:48:00 01時48分 親の会・小田さん(聞き取り通訳;小野さん) このようにチェックしていくと、たった10分間のビデオテープに様々な課題が含まれていることが分かります。
また、これらの課題はほとんどが「手話通訳の技術・コツ」であり、聴者講師がキチンと整理し、通訳者養成に反映していかなければならないテーマだと感じました。「養成における、ろう・聴の役割分担」を考える上でも参考になると思います。
<「ろう教育について」の観察実習チェックシートによる振り返り>
・事前打ち合わせの時、大変な緊張感を感じた。重苦しい空気を通訳することの責任の重さが伝わってきた。〈1〉
・計1時間の事前打ち合わせでも十分とは言えず、資料を全部読む時間もない。〈5〉
・適切な言葉への言い換えは本当に難しい。〈5〉
・もっといろいろな知識が必要だと思った。〈6〉
・手話通訳者としてキチンと伝える事は当然だが、内容としても課題が残されていることに対して、ろう協・ろう学校・親の会が協力していって欲しい。〈13〉
<今回のろう教育シンポジウムを通じて>
・今回は、通訳者養成カリキュラムの一環としての観察実習でしたが、通訳チェックだけでなく、シンポジウムのテーマである「ろう教育」そのものについても受講生にチェックシートを書いてもらいました。
・観察実習チェックシートには、「ろう者からの発言を聞いて」「ろう学校側からの発言を聞いて」「親の会の意見を聞いて」という設問が設けてあり、受講生はそれぞれ沢山のことを書いてくれた。
・この観察実習は、ろう者のバックボーンである「ろう学校」や「教育」の問題を知ることによって、ろう者に対する理解を深められるという意味でも大切な実習だと思う。
2.14:30〜 先週1/18の講演通訳実習を振り返る
・いきなりなんですが、今回の実習で何が良かったかって言うと、そりゃ「講演内容が素晴らしかった」ということに尽きると思いました。
そして一番残念だったことは、その素晴らしい講演内容が、3人のろう者には「さっぱり分からなかった」ということです。
・次に、一番反省したことは、「講師の段取りが無茶苦茶悪かったこと」でした。自分では、シナリオも書いて「それなりに準備」したつもりだったのですが…。
<ビデオ・チェック>
0:00:00:00 1時35分 Ya01 司会(稲垣さん)の通訳 0:01:12:00 1時35分 Tu01 菊池講師のあいさつ(読み取り通訳) 0:02:00:00 1時36分 Ya02 司会(講師紹介) 0:03:26:00 1時38分 Og01 鶴原さんの講演 0:06:23:00 1時41分 Mu01 鶴原さんの講演 0:09:21:00 1時44分 Ta01 鶴原さんの講演 0:11:36:00 1時46分 In01 鶴原さんの講演 0:15:00:00 1時49分 In01 鶴原さんへの質問 0:15:57:00 1時50分 Ko01 鶴原さんの答え 0:18:01:00 1時52分 Ya03 斎藤さんの講演 0:21:49:03 1時56分 Tu02 斎藤さんの講演(板書〜) 0:25:22:00 1時59分 Og02 斎藤さんの講演 0:27:40:00 2時02分 Mu02 斎藤さんの講演 0:32:27:00 2時07分 Ta02 司会(斎藤さんへの質疑) 0:36:08:00 2時10分 In02 司会(野坂さん紹介)〜 0:40:08:00 2時14分 Ko02 野坂さんの講演 0:44:23:00 2時19分 Ya03 野坂さんの講演 0:48:21:00 2時23分 Tu03 野坂さんの講演 0:52:18:00 2時27分 Og03 野坂さんの講演 0:55:17:00 2時30分 Mu03 司会(野坂さんへの質疑)〜休憩 0:59:47:00 2時46分 Ya04 再開・司会者 1:00:44:00 2時47分 Ta03
In03座談会 1:07:32:00 2時54分 Ya05
Ko03
Tu04座談会 1:15:38:00 3時02分 Mu04
Ta04
Og04座談会 1:19:15:00 3時06分 Ya06 司会(3人への質疑) 1:20:28:00 3時07分 Ko04 質問者の読み取り通訳(ショックだった経験) 1:21:15:00 3時08分 Mu04
Ta04
Og04回答 1:26:15:00 3時13分 Ya07 司会 1:27:04:00 3時14分 Ya08 質問Si(チームワークについて) 1:28:13:00 3時15分 Mu04
Ta04
Og04回答 1:33:30:00 3時20分 Ya09 司会
質問Ka(テープ切れ…スミマセン)
<ポイントとなるところは、テープ起こしして、表現と突き合わせをするくらいの作業が必要だと感じた。しかし、今の講師体制ではとても無理。受講生に分担してもらうという方法などもあるかもしれないけれど、テープのダビングだけでも大変だし、総務というかアシスタントが必要だ。いずれにしても1週間でやるのは無理です。>
<指摘を受けた部分を、担当者が再度練習して、チェック担当者にもアドバイスしてもらい、聞き取り表現してもらう>
<今後の予定について>
2/1(土) 13:30〜 |
実践7・第2回実習のための事前学習;県南サ連懇談会での通訳 |
2/2(日) 13:00〜 |
通訳実習2 ・県南手話サークル連絡協議会懇談会の手話通訳(つくば・阿見町グループ) |
2/8(土) | 実践8・実習反省/第3回実習の事前学習 |
2/9(日) | 通訳実習3(県南東グループ) ・県ろう者大会;(詳細未定)、会場;鹿嶋勤労福祉会館、 時間;未定(その他県南・鹿行グループ) |
3/1(土) | 実践9・まとめ&修了式 |
注)実習は、基本的にグループ単位で行うので、他のグループの日は自由参加。
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