「施設班」ってなぁに?

1.そもそも「班活動」とは、何か?

 全国手話通訳問題研究会(全通研)の東京支部の中には、「班活動」と呼ばれる会員の自主的な学習・研究活動の場がある。
 専任班(役所のなどに設置された専任手話通訳者の問題を扱う)や派遣班(地域手話通訳派遣の問題を扱う)、あるいは労働班(職業安定所の手話通訳問題などを扱う)が知られているが、手話講習会班(地域の手話講習会の問題を扱う)や子育て班(聴覚障害者の子育てにおける手話通訳問題を扱う)なんてのも、かつて活動していた。

 これらのテーマは、全国手話通訳問題研究討論集会(冬の討論集会)の分科会テーマが元になっている。今年2月の岐阜集会では、次の13の分科会が開かれた。

T.手話通訳の制度

第1分科会 手話通訳派遣制度
第2分科会 手話通訳設置制度
第3分科会 手話通訳ネットワークと情報提供施設

U.手話通訳の仕事

第4分科会 手話
第5分科会 手話通訳の専門性を高めるために
第6分科会 手話講習会・手話奉仕員の養成
第7分科会 手話通訳者の養成
第8分科会 専門学校での手話講座
第9分科会 テレビと手話通訳

V.聴覚障害者の暮らし

第10分科会 聴覚障害者の暮らしを見つめて
第1分散会 医療
第2分散会 労働
第11分科会 手話サークル

W.手話通訳の運動

第12分科会 手話通訳者の健康
第13分科会 聴覚障害者関連施設

2.「施設班」とは、何か?

 「施設班とはこれだ!」というほど、実はまだ内容が固まっていない。
 取りあえず、始めて見て、集まった仲間たちと一緒に「何していこうか?」「どんな活動をしていきたいか?」を考えて行こうと思う。
 ただし、僕が「施設班」を作ろうとしたきっかけは、次のとおりだ。

 今年の冬の全通研討論集会(岐阜集会)で、第13分科会『聴覚障害者施設』に参加しました。
 京都「いこいの村」や大阪「なかまの里」の職員が参加しており、介護保険の導入を目前に控えて様々な問題提起をされ、たいへん勉強になりました。
 また、助言者であった埼玉県の河合理事長は、「この分科会は、これからの聴覚障害者福祉を考えていく上で大変重要な分科会になる。是非、地域での議論を深め、全国の仲間の知恵を出し合うような分科会に育てて行っていただきたい。」と挨拶され、大いに感激しました。
 そこで短絡的な私は、『ゼッタイ東京にも第13分科会班を作って来年の埼玉集会では東京からレポートを出そう』と思った次第です。しかし、言うは易し行うは難し、何から始めたものやら、どんな方法が良いのやら暗中模索中です。
 そこで「施設班」設立を皆様に呼びかけ、取りあえず集まって始めてみよう、と考えた次第です。

 いやぁ、我ながら安易だ。
 このままでは、掛け声倒れになりそうだったので、先週の土曜日、午後「かたつむり作業所」花田所長に相談に行って来た。

3.施設班で何をしようか?<花田さんの話し>

 8月28日の土曜日、かたつむりでボランティア交流会があった。
 その時に前もってアポを取り、共同作業所かたつむりの所長・花田さんから1時間ほど「施設班」のアイデアについてご意見を伺った。
 花田さんは言われた。

 「施設」の問題については、京都いこいの村・大阪なかまの里を中心とした「施設連絡会(全国ろう重複障害者施設連絡協議会)」が「施設としての課題」をテーマに議論を深めている。埼玉ふれあいの里どんぐりもここが主体だろう。
 一方、「施設」がまだできていない地域から見ると、施設連絡会での議論は、専門的過ぎてサッパリ分からない部分がある。こうした地域では「共同作業所づくり」が中心テーマだ。これについては、今度11月13日(土)〜14日(日)に大阪で「第3回全国聴覚言語障害者福祉研究交流集会」が「重度重複と高齢の聴覚言語障害者の発達と権利を考える」をテーマに開かれる。ここが議論・情報交換の場として相応しい。
 では、支部は何をしたらいいのか?全通研の果たすべき役割は何か?

 それは、もっと「地域に根付いたろう重複者との関わりの創造」だ。
 あるいは、今時の「手話通訳士の手話」では通じないような、未修学ろうあ者の生活を地域から支える通訳活動ということだ。

 あなたの地域に生活するろう重複の仲間を、あなたの地域でどのように支えていったら良いのかを、真剣に議論する場が必要だ。
 地域の聞こえる人中心の作業所に通う、ろう重複の仲間がどのような状態で働いているのか?情報はキチンと保障されているのか?作業所のほかのメンバーとのコミュニケーションは成り立っているか?など、確認していく活動も有効だ。

 つまり、「ろう重複者の掘り起こし」だ。
 ろう学校に通った経験のない、養護学校を卒業したろう重複者もいる。
 彼(彼女)らが、地域の作業所などに通い、楽しく働くことができればいい。しかし、実態は、手話の出来る一部の指導員としかコミュニケーションができなかったり、作業所仲間とは極めて限られたコミュニケーションしかできていないのが実情だろう。
 地域のろう重複者の実態を知り、それらを背景にして、東京全体でいろいろな施策を要求していくことが、求められている。

 また、ろう学校における「ろう重複児童」の実態についても目を向けていくことが必要だ。現在、かたつむりでは、新しく都内における「学童クラブ」の創設を目指して準備を進めている。重複学級や学童クラブの教師・指導員から話しを聞くのも、いいことだ。

 このあと具体的に何人かの講師候補について、花田さんからアドバイスをいただいた。
 それらについては、また次回、ということで・・・。

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