イベント報告

1999年7月30日(金)31日(土)
東京よみうりランド会館
参加者;ろう重複の仲間たち・親兄弟・ボランティア・職員・スタッフなど延べ300名近くの参加があったそうです。

 第13回を数える「関東のつどい」に初めて参加した。
 僕は、当日の前準備および1対1のボランティア(ろう重複の仲間とペアになって二日間を過ごす)として参加させてもらった。
 「関東のつどい」は98年度、資金難と職員の負担過重から中止に追い込まれた。しかし、仲間・親たち、そしてボラたちの強い希望で、これまで3月に開催されていたものを8月に時期を変更する形で第13回が開かれた。実質5ヶ月の順延で済んだ訳だ。

<「関東のつどい」とは?>

 親たちは、学習会。
 そして、仲間たちは「なかまのつどい」をする。
 ろう重複児同伴で参加でき、かつ、受付から先は、宿泊を含め親と子どもが全く別のプログラムに参加する、というところにこのつどいの深い意義がある。
 親は子どもの心配をせずに、ゆっくり・じっくりと話し合う事が出来る。
 こどもは、ボランティアと一緒になって様々な企画をとことん楽しむ。
 そんな二日間なのだ。 

<親の学習会、今年のテーマは「食生活」>

  僕は、学習会に参加してないので理論的なことは分からないが、「好きなものを好きなだけ」食べられるって、人間にとってとても大切な事だと思う。
 一方で、規則的に栄養バランスの取れた食事をとることは健康の基本だ。
 2日間仲間と一緒にいて、コミュニケーション手段の限られた彼らが、食生活を「コントロールする」事って本当に難しいなと感じた。
 うだるような暑さに思わずジュースを買って飲んだり、ついでにお菓子も買っちゃったり。夜の交流会では、たらふく食べ、飲んじゃうでしょ(誰だって)。プールの後は断然アイスクリームだし。2日間暴飲暴食気味な食生活だったが、それは実は「とっても幸せな気持ち」なのだ。「暑いからジュース買いに行こうか?」って聞いたときの、仲間の嬉しそうな顔がとっても印象に残っている。
 
 僕の場合、健康のことを「考える」と、それは「よくない」ことで、それは「理屈では分かる」けど、「なかなかそうもいかないんだよね」って訳で、その結果「太ってしまってズボンがきつくてヤバイ」僕がいる訳です。
 ろう重複の仲間の場合、「考える」のは、なかなかたいへんだし(ろう重複の場合、「知的障害」を併せ持つ仲間が多い)、「よくない」ってことを「理屈で分かる」のって、「なかなかそうもいかない」し、それで「糖尿病とかなっちゃっては、ヤバイ」訳だからなんとしても「分かってもらう」ことが必要なんだけど・・・どう伝えようか? どう理解してもらおうか? うーん・・・。
 こんなところにもコミュニケーションの障害を伴う「ろう重複」の障害の重さを痛感せざるを得ない。

親の学習会会場には、いろいろなメニュー事例の写真パネルも展示されてました。

「関東のつどい」の記録集
   「出会い この瞬間(とき)を−ろう重複者の明日を語り合って−」

 実は、今回のつどいは、これまでの「関東のつどい」の記録集「出会い この瞬間(とき)を−ろう重複者の明日を語り合って−」の出版記念を兼ねていた。
 さっそく買い込んできたので、いずれ「本だな」のページにUPしたいと思います。お楽しみに。1冊1500円です。初回2000冊印刷だそうで、お早めにお買い求めください。
 申込先;東京・国分寺市 共同作業所「かたつむり」 TEL&FAX 042-576-6645

仲間のつどい

 私が参加したのは、「なかまのつどい」。写真でお見せできないのが残念です。(イベントは参加して「自分自身が存分に楽しむべし」と思ったので、敢えてカメラは携帯しなかった)。
 主なメニューは、次のとおり。

時間 内容 場所
07月
30日
13時
集合・受付
仲間と1対1ボラのご対面
(これ以降の行動は全てペアで)
開会式までは、シャボン玉や水鉄砲、縄跳びなどで遊びまくった。
大ホール前
ロビー
14時 開会式
各県の仲間の紹介。今回は、僕が覚えている範囲では、東京・埼玉・千葉・神奈川から遠く静岡・新潟・長野の仲間も参加。親の学習会には、さらに遠く愛知・三重・宮城からの参加もあったようだ。
三角広場
(ジャイアンツ球場の隣でした)
15時 工作の時間
夜の交流会で使う、おみこし・楽器・ボンボン・お面・うちわなどを作った。
三角広場
(風が強くてしばしば材料が吹き飛んだ)
16時 おやつの時間(暑くてとにかくのどが乾いた) 三角広場
18時 夕食(野外バーベキュー)
焼きソバ・肉・野菜など。ホタテも美味かった。焼きおにぎりは片面炭化していた。でも、仲間と競い合うようにたらふく食べてしまった。ダイエット中なのに、トホホ・・・。
三角広場(テントを片付けパーティー会場に早変わり)
19時 交流会
演歌歌手の歌あり、朝倉マミさんのシャンソンあり、キャンプファイヤーへの点火あり、おみこしあり、盆踊りあり、ディスコあり、サンバありで、結局後半は「踊りまくって」汗だくの交流会となった。メチャメチャ楽しかった。
三角広場(今度はミニステージとファイヤーを囲んでの交流会会場に大変身)
21時 入浴(私は変態ではありませんが、一緒にお風呂に入るのって、スキンシップっていうか特別な「心の近づき」を感じます。)
仲間の交流会(仲間だけの二次会を見学させてもらった。シンプルだけど、すべてを仲間が仕切る交流会は時間がゆっくりと流れた。)
宿泊棟(よみうりランドには、こんな施設まであるのだ。なかなかヤルな!)
23時 就寝(相棒の仲間は、興奮して大声出してたけど、ヘトヘトに疲れた僕は、「うーん、ホント楽しかったよねぇ」と同意しているうちに眠りこけてた) 宿泊棟(僕の部屋は仲間6・ボラ6の12名部屋。2階建てベットでカーテンもあるのでグッスリ眠れた)

第2日目(7月31日 土曜日)

時間 内容 場所
7時 朝食(実際には6時半にたたき起こされたゾ!眠い) 食堂(食事は、まあ「並」)
8時 受付(今日だけの参加者・ボラなどを含め、もう一度仲間と1対1の確認。僕は同じ仲間と引き続き一緒に行動した。) 大ホール前ロビー(なんか一日目と違う雰囲気。
より和やかなリラックスしたムードを感じた。それは、夜通ししゃべりまくっていただろう親たちがかもし出していたのかもしれない)
9時 いざプールへ(今日は2班に分かれて、僕らはプールへ、もう一組は遊園地へ) よみうりランド・プールWAI(波あり、流水あり、飛び込みありで広くて楽しいプールだった。
仲間の希望でジャイアント・スカイリバーなる救命ボートにのって滑り降りるスライダーにも乗ったし、直線スライダーで体が浮き上がる恐怖も味わった。
ピーカンなお天気で、プールサイドを裸足で歩くと「鉄板焼肉状態」で仲間ときゃあきゃあ叫びながら走った。
流れるプールでは、途中で他の仲間と一緒になり、二人で仲良くプカプカ浮かんで流れて行くのがとても気持ち良さそうで楽しそうで、「いいカンジ」だった。
12時 昼食は、弁当をプールサイドで食べた。「あとはのんびり寝そべってるか」と思ってたら、すぐさま「行こう」ってんで、食休みもそこそこに再び流れるプールへ。
結局、朝から午後2時まで水に浮かんでた。指はふやけるし、肩から背中は真っ赤で痛いし、でも、とっても楽しかった。
15時 帰館・閉会式(よみうりランド会館に戻って2日間の報告会。)
そして、解散。また来年会いましょう。
終了後、スタッフ・ボランティアの交流会があったのだが、都合で参加できなかったのが残念。
よみうりランド会館別館大ホール

<感想> 

 うまく言えないけれど「満足感だけが残った」関東のつどいだった。
 いつも感じる事だが、仲間達もかたつむりのボラたちも欲がないっていうのか、自分自身が一番楽しんでるのが、とてもいい。
 僕の場合、ずっと手話をやってきて、いつもどっかで「上手になりたい」「上手になっただろうか」あるいは「より役に立つ手話通訳知識・技能を得ただろうか」みたいな「自己評価」あるいは「他人の目」を感じつづけてきたのかもしれない。
 それが、今の気持ちは「自分自身の楽しかった思い出」だけが心にしっとりと浮かぶ

 「よくこれだけのスタッフで、これだけの大きなイベントやっちゃうよな、無謀過ぎる」 これもかたつむり関連のイベントに参加するたびに感じる驚きだ。今回も午前中、三角広場の事前準備をやってる時に、「えっ? ここの準備やる人って、今、馬屋原さんしかいないみたいなんだけど・・・」状態の時間帯があって、「ほんとですねぇ、ハハハ」って。それでも本番は「メッチャ楽しめる」ものが出来あがってしまう。不思議。

 激務の中、準備に奔走していただいた職員・ボランティアスタッフの皆様に心から言いたい。

「ホント楽しかったッス。ありがとうございました。」

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