イベント報告

石川芳郎氏講演会

1999年7月29日(木)午後7時から8時45分
京王プラザホテル 3階グレースルーム
参加者;170名
参加費;1000円(飲み物付き)

めずらしく2次交流会にも参加
会場;新宿西口「和民」
参加者;35名程度
参加費;3000円
京王プラザホテルの全景写真

 京王プラザホテルは、対聴覚障害者サービスについて東京では最も積極的なホテルだと思う。その根拠は、一つには、フロント業務を担当されている方を中心とした自主的な手話サークルがある、ということだが、もう一つには、実際のホテル業務の中に、その成果を柔軟にどんどん取り入れていることがある。
 フロントにおける手話の対応はもちろんだが、宿泊客への聴覚障害者対応コミュニケーション機器の用意には、特筆すべきものがある。ナント独自の機器開発まで行ってしまったのである。

<京王プラザホテル・システムファイブコミュニー&パーム>

ベッドサイドに用意されたバイブレーション。アラーム・ドアノック・ファクス・電話に反応し、振動する。

 客室ドアの内側には、ドアノックセンサーが取り付けられ、ノック音(2回以上連続のみ)を感じるとランプが点滅・バイブレーターが振動し、聴覚障害者に知らせるわけだ。

これがパーム。筆談機。手書きの文字を送受信できる同時筆談機。これはスゴイ! フロントやルームサービスと客室の間で相互にこれを使って筆談でやり取りする訳です。これまでは外線経由のFAXが精一杯だったのですが、これは「同時」というところが良いですね。いちいちFAXの返事を待つ必要もありません。

(写真は京王プラザホテルのチラシから転載させていただきました。)

<その京王プラザ手話教室の講演会>

  講師は、全通研副運営委員長の石川芳郎さん。
 期待しない訳にはいかなかった。(なぜか、私は「介護保険と聴覚障害者」というテーマで話されるとばかり思い込んでいて、受付でもらい損なったレジュメを休憩時間にもらうまで「いつ介護保険の話しが出るんだろう?」と「ワクワクしながら(?)」待っていた。)

 なるほどチラシを読むと

「耳が聞こえないとはどういうこと? 聞こえないと日常生活にどんな不便があるのでしょうか・・・。いつでもどこでもFAXや字幕付きのテレビ番組が利用できたら、どんなに聞こえない人にとって便利な世の中になるでしょう・・・。
 今回は聴覚障害に対する理解、聴覚障害者の働く環境について、また聞こえないお客様とのコミュニケーションやサービスのあり方を、とりわけ観光業界に焦点をあててお話しをしていただきます。

 とある。(全然認識してなかった!)
 レジュメのタイトルは「手話、ろうあ者、不便さの減少を」となっている。
 石川さん自身のろうあ者との出会い、なぜ手話を学ぶようになったかを引き合いにして、聞こえない障害とはどんなことなのか、手話を学ぶとはどういうことなのか、について丁寧かつユーモアたっぷりにお話しいただいた。
 講演の内容については、石川さんが用意されたレジュメの「まとめとして」の部分を勝手に転載する。

<感想> 

 個人的には何度も聞いた事のある石川さんの「聴覚障害者問題入門講座」。
 「聞き飽きた」という訳ではないけれど、講演中ずっと何か心の中に引っかかるものがあった。それは、石川さん自身も冒頭に話されていたように<健聴者がろう者の暮らしを語る>ことの不自然さみたいなものだったように思う。「ろう者と共に活動してきた立場で不便を感じたこと」と断り書きをいれて石川さんは話されたが、こうした健聴者向けの「入門講座」であるからこそ、聞こえない人自身が語る以外にないように感じた。

イベント報告メニューに戻る