つくばみらい市2007年度手話奉仕員養成講座 基礎課程

1.コースデザイン

(1)第一段階:コースの到達目標の明確化

全国手話研修センターが2006年度からスタートした「全国手話検定試験」4級合格を目指す、などということを考えてみたのだけれど、現在の基礎課程カリキュラムとの関連性がいまいち不明朗だしなぁ。
ちなみに「4級」は、
*手話学習を始めて1年【6ヶ月】くらいの方が対象です。
*ろう者と会話をしようとする態度を持ち、1日・1週間・1年の家族との身近な生活や体験を話題に手話で会話ができる程度の力【自己紹介を話題に手話で会話ができる程度の力】を問うレベルです。
*そのために覚えてほしい単語は500~600程度【200~300語程度】です。
*試験の方法は、曜日、年・月・日、時間に関する手話を理解し、日常生活の体験を話題に手話【挨拶や自己紹介を話題に手話】を読み取ったり(手話の読み取り試験)、手話表現をしたり(手話での表現試験)、会話をしたり(手話での会話(面接)試験)します。
とのこと。【 】内は5級のレベル。
確かに入門課程では「1日・1週間・1年間のこと」程度を話せるようにというカリキュラムなので、目標としては「4級」だろうなぁ。

(2)第二段階:受講生にどのような学習をさせるのか?

基本課程のテキストを土台にして講座を進めていく場合、試験との関連性をどう作っていくかが難しいかも。これは、手話通訳者養成も同じ。
でも、試験対策として毎回読み取りテストや、表現テストをやるってのも、案外受講生にとっては、学習意欲が上がっていいのかな。
ちなみに試験は以下のように行われる。
「手話の読み取り」
方法: テレビ画面に提示される手話を見てマークシートに解答を記入します。
◇5級・4級は「基本単語の読み取り」と「短文の読み取り」があります。
「手話での表現(手話によるスピーチ)」
方法: 個別面接の方法でおこないます。
テーマがいくつか示されます、そのなかからテーマを1つを選び、1分間考えた後に、2分間手話でスピーチをします。
「手話での会話(手話による応答)」
方法: 「手話での表現試験」に引き続き「手話での会話試験」が始まります。
手話スピーチ(手話での表現)した内容を参考に各級の試験領域レベル(P4~6参照)の範囲で面接委員の手話での質問に手話で応答をします。
例えば、短文を手話で表現して、文末や修飾の係り方など意味の違いを三択問題にするようなら、なかなか面白い問題が作れるかも知れないけど、単語を答えるのではちょっと・・って感じです。
あるいは、手話で3つの文章を表現して、その中から設問の日本語の意味に合う表現を選ばせるとか・・。
一方で、基礎課程のテキストでは、全日本ろうあ連盟の考える「手話の基本文法」を一通り勉強することになっているので、これはこれでやっとく必要があるかなとも思う。
いわゆる手話通訳技術の7ポイントは、
豊かな語彙とその選択
表情
主語の明確化
代名詞化
時間・空間表現
写像的表現
同時的表現
まあ、これは「通訳」技術の7ポイントなんだけど、基礎課程もこれを踏まえて組まれているのは明らか。
第1講座 具体的表現 形・動作・状況を工夫して表現 1.語彙
第2講座 具体的表現 意味をつかんで表現 1.語彙
第3講座 置き換えの表現 意味にあった手話を選んで表現 1.語彙
第4講座 表情 表情・強弱・速度を工夫して表現 2.表情
第5講座 主語の明確化 位置・方向を工夫して表現 3.主語
第6講座 主語の明確化 位置・方向を工夫して表現 3.主語
第7講座 主語の明確化 指さしを使って表現 3.主語
第8講座 主語の明確化 体の向きを変えて表現 3.主語
第9講座 空間の活用 左右・前後・上下の空間を活用して表現 5.空間表現
第10講座 空間の活用 指さしや視線を活用して表現 5.空間表現
第11講座 同時性 両手を上手に使って表現 7.同時的表現
第12講座 代理的表現 単語や文の代理的表現 4.代名詞
第13講座 繰り返しの表現
第14講座 まとめ1
第15講座 まとめ2
第16講座 フリーディスカッション
第17講座 意見発表
第18講座 レベルアップ 具体的表現 6.写像的表現
第19講座 レベルアップ 手・顔・身体の表情
第20講座 レベルアップ・格の決定 位置・方向・指さし
第21講座 レベルアップ・格の決定 体の向き
第22講座 レベルアップ・空間活用 左右・前後・上下
第23講座 レベルアップ・空間活用 視線・指さし
第24講座 レベルアップ 両手の活用と繰り返しの表現
第25講座 レベルアップ 指の代理詞的活用
26講座 手話劇の創作
27講座 手話劇の発表
28講座 講義 障害者福祉の基礎
29講座 講義 聴障者活動と聴障者福祉制度
30講座 講義 ボランティア活動
1.語彙では、以上に加えて、手話独特の表現や、地元の手話なども組み入れたいところです。
2.表情は、できそうでできないところだと思う。練習の段階でもっとフィードバック(ビデオ撮影や、鏡に向かっての練習)が必要だと思う。
3.主語(格)の表現が、一番難しいと思う。特に(1)話者と(2)話題の中の話者(本人)と(3)話題の中の第三者(他人)の3つをキチンと表現できることが大切だと思う。
5.空間的表現というのは、実は「格」の問題と密接に関わっているように思う。それは話者が「どの視点」にいるかということがとても重要だからだ。高い低いや遠い近いは「視点」によってイメージが異なってくるので、そうした「視点の切り替え」について行けるようにならないと手話を読み取ることはできないように思う。また、広い狭いや早い遅いなども「空間的表現」に関係するポイントのように思う。

(3)第三段階:コースの実現可能性をチェックする

(4)第四段階:コースの基本デザインを講義要綱にまとめる

〔1〕カリキュラム
〔2〕教材
〔3〕参考資料